第31話 4番線ホーム

 「はい、どちら様で?」

石川五郎太は、携帯に出る。

「ん?佐倉来人さん?はい‥はい‥葉山翔子?知りませんね‥会いたい?で‥いいでしょう、では東京駅 横須賀線 4番線ホームの最後尾車両のあたりで17時にどうでしょう?はい、ではそれで‥あっ必ず一人できてくださいね‥では」

石川五郎太は、携帯を切り「佐倉来人‥言霊の人‥さて金になるかな?」そう独り言を呟いた。


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 「なんだって⁈」理沙は身を乗り出して来人に聞く。

 来人は、「会える事になった‥17時に東京駅で、だが、一人で行かなければならない‥理沙の〝残像を追う力〟も当てにしていたんだが‥」と冷めたコーヒーに手をつけた。

 理沙は、「隠れてついて行こうか?」と進言するが、「いや、やめておいた方がいい‥どんな〝能力〟を持っているかわからない‥危険だ」と来人は、理沙を止めた。

 二人は同時に腕時計を眺めた。

 時間は、午後3時であった。


 17時 東京駅 4番線ホーム


 辺りは、電車が発車した後で人はまばらであった。

 佐倉来人は、16時半には、ホームに着いていた。

周りを見渡していたが、それらしい人物は見当たらなかった。

 17時7分に成田行きの車両が入って来た。

 列車から降りる人混みの中に、黒のジャケットをきた、50代であろう男を見つける。

 その男〝石川五郎太〟は、一直線に来人に向かって来る。

 五郎太は、歩きながら右手の指を三本立て〝お前は言霊を使えない〟と呪いを唱えた!

 来人は、〝しまった!〟と思った瞬間に〝言霊〟

を使おうとしたが、既に五郎太の呪いが、かかっていた。

 直立に立つ佐倉来人に五郎太は近づく。

五郎太は、「初めまして、いや、お久しぶり、来人くん?」と至近距離で話す。

来人は、「頼みがある‥葉山翔子の居所を知りたい‥」不自由な口で言葉を絞り出す。

五郎太は「調べてもいいが‥〝ヤツら〟が絡んでいるんだろ?経費がかかる。一千万だ‥」と来人の耳元で囁く。

 「一千万!」来人が眉を顰めるひそと、五郎太は、「例の〝トライアングル〟は知っているか?それと交換でもいいぞ?」と、ニヤけて、その場を去ろうとした。

来人は、「まて!」と多少自由になった口で、言霊を使う!


 〝ヤツらについて知っている事を喋る〟


と、同時に次の列車が入ってきた!

列車の警笛の音に言霊はかき消された。


 「危ない、危ない、再会のサービスで、一つ教えてやるよ、一緒にいる刑事は、ヤツらの手の者だぞ!」と五郎太は告げ、列車に乗り込んだ。

 来人は、「何!柴山さんがか⁈」と驚き、呆然とした。


 列車は、五郎太を乗せ東京駅を発車した。

 



 

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