第12話 双子

 2019年 10月


 葉山翔子はやましょうこ内田早智子うちださちこは、横浜駅近くの喫茶店にいた。

早智子は、「翔子?本気なの?〝言霊の人〟と結婚するなんて」と飲みかけのアイスコーヒーを前にして尋ねる。

「本気よ!好きになっちゃたんだから!それに守ってもらえるし!」と言ってカップのホットコーヒーを飲むが胸元に溢してしまった!

「〝巻き戻して〟!」と早智子に言う。

早智子は、一瞬目をパチリと閉じた。


 〝時が5秒巻き戻る〟


「コーヒー、溢すよ!」と早智子が忠告すると、翔子は「あっ、わかった」と言い注意深く飲んだ。

早智子は、「だいたい、私が養女に出された理由解るでしょ!葉山一族が、私が引き継いだ〝能力〟を守るためよ、なんで翔子がわざわざ、よりによって〝言霊の人〟と一緒になるのよ!周りからどうして反対されないか理解出来ない!」と不機嫌である。

「能力のエクスプロージョンよ!私と来人の子供に期待しているのよ葉山一族は!私は能力ないけど隔世遺伝があるでしょ!まあ、私は来人と一緒になれればそれでいいんだけど!」と賛成してくれない早智子に納得できない様子であった。

早智子は、「まあ、仕方ないけど、狙われる可能性もかなりあると思うけどね、〝ヤツら〟に」

とアイスコーヒーに手をつけた。

翔子は、「結婚式には、呼んであげるから、〝友人〟として!」とニコニコしている。

「いくわけないでしょ!瓜二つの私がいったら、〝双子〟ですって公表するみたいなものでしょ!

言っとくけど、私は反対だからね!」そう言って、周りに、聴かれていないかキョロキョロと確認した。

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