第4話 誘拐
来人は柴山をバックヤードのさっきまで自分の寝ていたソファへ招き、自分は机の丸椅子に座った。
柴山は、話始める。
「ある女子大生が男子中学生を監禁した。その女子大生は、就職先も誰もが羨む様な会社に内定をもらっていて、彼氏もいる。調べると彼氏とは、お互いの両親に挨拶も済ませ、卒業すれば結婚する流れになっていた。家庭環境は両者問題なく、金銭トラブルもない。何故?そんな順風満帆な女子大生が中学生を監禁するかだ!」とここまで話柴山は間を空けた。
来人は、「何かしらの〝トラウマ〟による愚行ではないのですか?」と返す。
柴山は、ここぞとばかりに指を左右にふる。
「その女子大生の父親は、野党第一党の里山議員だ!今、保守政権のスキャンダルを追求し、解散に追い込みをかけている。何か匂わんか?」と先程買ったセブンスターに火を点ける。
来人は、「確かにその女子大生には、理由もメリットもない、メリットがあるのは、保守政権だけだ、
だがどうして、〝反対側〟が絡んでいると言えるんだ?」と問う。
柴山は、「言いたくはないが、その女子大生が中学生を連れ込んだマンションが、あのマンションなんだよ、来人くん」と
下を向いて話す。
来人は、「何!翔子が事故にあったマンションだってのか!」と立ち上がり大声を上げた。
柴山は申し訳なさそうに「やっぱり君の主張の肩を持つことになるかもしれないが、やはり君の言う〝反対側〟の仕業も考え、君に話したんだよ」柴山は、タバコの火を消した。
来人は、自分の感情を押し殺し、「で、俺に何をしろと?」と聞く。
「反対側がいるのなら、その証拠と保守政権の関係を掴んで欲しい。普段、君に頼んでいる〝自白〟や証拠がでてくるなんて、生優しい依頼でないのは、
わかっている。だが君も常々言っているじゃないか?不可解な事件が多いと、その最たるものかもしれないが、明日には、里山議員のスキャンダルとしてニュースになり、保守政権の問題をないがしろにしようと動くだろう、せめて、〝反対側〟がいるなら捕まえられないにしても監視下に置きたい!」と柴山は語る。
「捜査資料をくれ」と来人は言って、席を立った。
店に行き、閉店を済ませたばかりな聡太に、「開店だ〝ワトソウ〟君」と言い、指を鳴らした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます