転生したと思ったら、戦闘(バトル)忍者・紅だった件!!
トーベ・ガルシア
第1話 目覚め
202X年6月X日
T都M区
暗い…だいぶ暗い。光の無い静まり返った闇の中・・・夜の森・・・いや、この感じはきっと深海って感じだな。
真っ暗だけど、体がふわふわ浮いている感じ。とても心地良く、このままずっと真っ暗でもいいような・・・言うなれば、平日の朝のずっと寝ていたいという、あの感覚に似ている。
でも、いつもやかましいアラームの音で気分を害される。
まぁ、気分を害されると言っても、アラームをセットしているのはおれで、アラームが鳴る頃には目を覚ましていないといけないのだが・・・
今もそうだ。何やら外野がうるさい・・・これはアラームの音ではないな・・・
ガヤガヤガヤガヤ・・・すごく遠くで響く人の声だ・・・段々はっきり聞こえるようになってきた・・・
目の前も明るくなってきたなぁ・・・これはそろそろ目を覚ます時間って事か・・・
おれは渋々目を開けた・・・うわぁー・・・眩しいぃ・・・って、ここはどこだ・・・?
目覚めの視界に入ってきたのは真っ白い天井に、白光を放つ蛍光灯。これは明らかにおれの部屋ではない・・・というか、おれの部屋ってなんだ・・・?
「・・・い!・・・開!起きて!しっかりして開!」
おれの右側からやかましい声が聞こえる・・・ようやくはっきりしてきた視界に、二人の人物が入ってきた。
左にいるのは・・・眼鏡をかけた・・・おっさん・・・?これは白衣を着ているから・・・医者か・・・?
右にいるのは・・・可愛い女の子だ・・・やかましいのはこの子か・・・
「開!良かったー・・・!やっと目を覚ました!もうダメかと思ったよ!?」
「開君!目を覚ましたようだね!良かった!良かった!」
かい、かい、呼ばれているが、開(かい)っていうのは、おれの名前か・・・?
「あぁ・・・あの・・・開って・・・おれの名前なのか・・・?」
「寝起きだからって何寝ぼけた事言ってるのよ!あなたの名前でしょ!」
おれの問いかけにツッコむ可愛い女の子。
「いや、澪さん。もしかすると開君は、怪我の衝撃で一時的な記憶喪失なのかもしれない・・・」
「え・・・記憶喪失・・・?」
「まぁこの怪我ならそれもあり得るだろう。一時的だろうから、時間が経てば元に戻るだろうが・・・」
記憶喪失・・・おれは記憶喪失なのか・・・確かにいまいち状況も呑み込めないし、自分が誰だかもわからないような・・・そもそも、おれは開ってやつなのか・・・?
頭がモヤモヤする・・・この医者らしき人物が言うように、おれは頭にダメージを負ったんだろう・・・その影響で全く頭が働かない・・・
「開!私の事は覚えてる!?」
おれの右側の可愛い女の子が問いかける。
「いや・・・可愛い女の子って以外は、何も覚えて無い・・・」
「・・・・・・先生、やっぱり開は重症です!」
「んっ、んんんっ!まっ、まぁ、軽傷では無いから、しばらく安静にする必要はあるね」
なんか微妙な空気間になったその時、おれの足元の方で扉が開く音がした。
「おーっと先生!そいつは安静にしてる暇なんかないぜ?」
おれは頭を持ち上げ、足元の声の方を見た。声の主は身長180センチはあるだろう色黒短髪でガタイのいいおっさんだった。上下迷彩服を着ているこのおっさんは・・・自衛官なのか・・・?
「あっ・・・叔父さん!」
「おう!澪!看病ご苦労さん!開はようやくお目覚めかい?」
上下迷彩服のおっさんは、どうやらこの可愛い女の子の叔父らしい。
「目は覚めたけど・・・なんか記憶喪失らしいの・・・」
「なっ・・・なにいいいいいいい!?おい、先生記憶喪失って、記憶喪失でも、開は戦えるんだよな!?」
おれが記憶喪失という事がよっぽど衝撃的だったのだろう。だいぶ驚いた上下迷彩服のおっさんは、医者に問いかける。
「いやー・・・どうだろう・・・体の傷は安静にしていれば回復するが、記憶喪失でも変身できるかは・・・」
「おいおいなんてこった!開が変身できなきゃ、街が戦場になっちまうぜ!?」
「いやー・・・私にそう言われてもこればかりは・・・」
なんか・・・おれを置いてけぼりにして話が進んでいる・・・戦うとか変身するとか戦場がどうとか・・・おれは今どんな世界にいるんだ・・・?
「あっ・・・あのぉ・・・状況を説明してくれるとありがたいのですが・・・」
「あー・・・そっか・・・開は記憶喪失だもんね・・・あのね・・・」
可愛い女の子が話を始めたその時、
(コン、コン)
扉をノックする音がした。
「失礼致します!服陸隊長、伝令です!」
「んっ?・・・嫌な感じだなぁ・・・」
扉をノックしたのは上下迷彩服のおっさんの部下で、部下も迷彩服を着ている。そして、どうやら上下迷彩服のおっさんの名前は服陸で、隊長らしい・・・
部下と思われる人物が、服陸隊長に耳打ちする。
「かぁー!やっぱり・・・動き始めたかぁ・・・!」
「現在戦力を迎撃地点に集結させていますが、建物が密接しているので、対象を沈黙させる程の火力は集まらないかと・・・」
「かぁー!くっそー!参ったなぁ・・・!おい先生、開の体は、致命傷あんのかい?」
部下の報告を聞いた服陸隊長は、医者に問いかける。
「いや・・・致命傷は無いが・・・って、いくらなんでも開君はまだ戦えんよ!?」
「いや、そりゃわかってんだけどよぉ・・・」
「ちょっと叔父さん!こんな状態で開が戦えるわけないでしょ!?」
医者と服陸隊長の会話に、可愛い女の子が割って入る。
「澪までそう言うなって・・・今ヤツらを仕留められるのは、開しかいねぇんだからよぉ」
「でもぉ・・・」
この可愛い女の子は澪って名前なのか。見た目通りの可愛い名前だなぁ・・・
「あっ・・・あのぉ・・・さっきからすごい物騒な話してますけど・・・一体何と戦ってるんですか・・・?」
さすがに状況が理解できなさすぎて問いかけたおれに、服陸隊長は不敵な笑みを浮かべこう答えた。
「鬼(バケモノ)とだよ・・・!」
「・・・はぁ?」
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