シャワー室に、二人

「背徳感だな」と、俺。


「好きなクセに」と、彼女。


「誰か来たら、どうする?」と、俺。


「アジサイの下だね」と、彼女。


 笑っている。


 アカリは、きれい、だ。


 それしか、ない。


 虫が、うごめく。


 さなぎに、なる。


 からを、破る。


 蝶に、なる。


 蝶は、飛ぶ。


「あ、ガだ」


「ん?」


 電灯に、ガ。


「ホタルガ、だよ」


「へえ」


 どうでも、いい。


「考えてたクセに、虫のこと」


「へ?」


 振り返る。


 虫。


 そこにも。


「あ」


 明かりが、消えた……


 アカリは、いるのか……?


 闇。


 薄笑い。


「わたしじゃ、ないよ?」


 明かりはないが、アカリは、いる。


 本当に?


「蛍蛾や 明かりの消える シャワー室」


 あ。


 そういえば、ホタルガは、どこへ行った?

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