夜の歌(小説版)
朽木桜斎
プールサイドに、二人
「くもってきたな」と、俺。
「そうだね」と、彼女。
プールサイドに、二人。
飛び込み台に、並んで。
「あそこのアジサイ、きれいじゃない?」
「青紫だね」
俺の返事は、退屈。
「知ってる? 赤紫だと、死体が埋まってるんだって」
「埋まってたりして」
今度は、退屈、じゃない。
「掘ってみようか?」
「スコップ、あるかな」
俺は、乗り気、の、フリ。
「埋まってるのは……」
「ん?」
「わたしかもね」
「は?」
「
その
「足、ついてるだろ?」と、指を、さしてみる。
「最近は、ね?」と、隠された。
白い足、長い足。
ほんとに、かも。
「
「あ、雨」
「あ……」
降り出してきた。
涼しい。
「にわか雨、かな?」と、俺。
「だったら、いいの?」と、彼女。
ほくそ笑んでいる。
「別に、どっちでも」と、つまらない、俺。
「更衣室、行こ」
立ち上がる、彼女。
背中。
遠くなっていく。
にわか雨、なのか?
「紫陽花や プールサイドの にわか雨」
体が、冷えてきた。
温まりたい。
行こう。
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