葉桜さんとのいちゃいちゃ日記

ゆる

第1話 付き合うまで(1)

「葉桜さん、今って確認お願いできますか?」


「うん!まってね。今行くから」


柔らかい笑顔で応対してくれたこの方は、私のバイト先の先輩である、【 葉桜 なのは 】さん。


4つ年上の大学四年生、大和撫子という言葉がしっくりくる、タレ目がちな優しいおめめをしている美人さん。

とてもスタイルが良く、程よい肉感が男女問わずに目線を惹き付けている。

特に太ももの肉感が個人的に好きすぎてしょうがない。

細すぎず太すぎない、まさに理想的なおみ足。

太ももからのふくらはぎのラインが私のストライクゾーンを容赦なく貫く。

ロングスカートを履くことが多い葉桜さんには珍しく、今日はスニーパンツという大盤振る舞い。

まだ高校生の私にはない、大人な魅力が溢れんばかりに漂ってきている。


これだけ語っていると気づかれているかもしれないが正直に言うと、私こと【 桃野 朔月 】はこの人が好きである。人としてではなく一人の女性として、性的に。


去年私がここの雑貨屋でバイトを始めた時から葉桜さんがいて、当時右も左も分からない私に懇切丁寧に一から仕事を教えてくれたのが彼女だった。


物腰柔らかな話し方と、話しているだけでもわかる人の良さに、きっと引かれたんじゃないかな。


いつから好きだったか、あやふやではあるけどきっと好きになるまでそう時間はかからなかったと思う。


気がついたら、葉桜さんのことが気になって、目で気づかれるのではと言うくらいに追っていたし、シフトが被らない日はとても落ち込むようになってしまっていた。


人を好きになることは私にとって葉桜さんが初めての経験であった。


これまでに、何人かの男の子に告白されたこともあったけど、どの人にも惹かれることは無かった。


友達には勿体ないと言われることも多々あったが、別に告白を断ったことに後悔などしたこともなかった。自分自身恋愛に興味が無いと思っていた程には。

けれど葉桜さんのことが好きだと気がついた時、女性を好きになったことに戸惑いつつも、何故かしっくりきて、だからこれまでの男子には惹かれなかったのかとすんなりと腑に落ちた。


でもきっと葉桜さんは私と一緒ではないだろう。ちゃんと聞いたことは無いけど、男の人が好きなんだと思う。


それに多分だけどこんなに素敵な人を男性がほっとくわけない。女の私ですら本気になってしまうくらいだ、彼氏や元彼だって少なくないはず。


それはそう、みてればわかること。


それなのに、モヤモヤする自分が居てそんな自分に嫌気がさす。一般的には常識から外れているのは私の方であるのに、それなのに私はもし、葉桜さんも好きでいてくれたらと、高望みをしてしまっている。モヤモヤすることすらおこがましいことかもしれない。


「ごめんね〜、お待たせ。それでなんの確認すればいい?」


そんなこんなにひねくれて居たら、作業をおわらせた葉桜さんがこちらに向かってくる。


少しだけ駆け足気味によってきてくれるのがとても嬉しい。


「えっと、在庫なんですけど」


「おっけ〜、ふむ。うーん......うん!大丈夫あってるよ」


確認が早い葉桜さんさすがだ。

そう言うと、「ちゃんとできてる!偉いね」と優しく頭を撫でられた。


脈が大きく波打つ。


色白でスラッと伸びた細い指。私よりも少しだけ大きい手に、心地よくも心臓がうるさいくらいに高鳴る。あまりにも単純で笑える。


「ちょ、子供扱いしてませんか?」


さすがにすこし恥ずかしくて、抗議の言葉を口にした。

どうゆう心境でそうゆうことをしてくるのだろう?

こちら側の気持ちもすこしは考えて欲しいものだ。


「ふふ、ごめんね?いやだったかな?」


眉尻を少し下げて問われる


「うぐっ、い、いや嬉しいですけど!」


間髪入れずにノーガード状態の私にストレートを打ち込んでくる葉桜さん。

そんなこと言われたら嫌って言えるわけない、そもそも嫌じゃないし。

なんならもっと撫でて欲しい次第です。


「はは、そっか〜ならよかった。でもほんとにお仕事早くなったね。お姉さんは、朔月ちゃんの成長を感じれて嬉しいよ」


そうしみじみと、感慨深そうに頷く葉桜さんをみて、やはり子供扱いをされているのでは?と内心おもう。なんとも複雑。


「もうー、なんですかそれ。私だって成長しますよもう高三ですから」


もう子供じゃない、とそう得意げに言ってみると、葉桜さんは「うんうん、そうだね」と微笑みを向けてくる。


何を言ってもこの、子を見守る親のような視線は私がバイトを始めた時から変わらない。いつもその眼差しで私を見てくれている。

嬉しくは思いつつも、そうゆう対象では無いのだと、悔しくなってこの手でその眼差しに他の色を足したくなってしまう。例えば、恥じらいの色だったり愛しさだったりの色がみたい。そうゆう目で私を見て欲しい。


大人なお姉さんを少しからかってみようかな。


「でも私がこうなれたのは、全部葉桜さんのおかげですよ?」


「えぇ?そんなことないよ」


「ほんとに。葉桜さんが全部教えてくれて、ここまで成長できたんです。葉桜さんがいてくれるおかげで、私このバイト続けられてますから。」


「え、えぇ?急にどうしたのぉ?恥ずかしいよ〜」


そうそう言いながらパタパタと手で顔を仰ぐような動きをする。けれど色はあまり変わってない。でもその仕草に心が踊る。そう、そうゆう照れがみたい。


「かわいい」


つい飛び出た言葉に、葉桜さんが驚きこちらを見つめる。

少し考えた様子を見せて


「ねぇ?もしかしてからかってるの?」


「あれ?バレました?でもちゃんと本心ですよ」


そうおちゃらけって言ってみた。以外に勘が鋭いというかなんというか。まぁ、「かわいい」は無意識だったけど、わかりやすすぎたのかな?


「もう〜、急に可愛いとかやめてよ。真に受けちゃう......から」


少し顔を赤らめ、目線を斜め横にずらす葉桜さん。

私の服の裾が控えめにキュッと握られる。


え、なにこの反応。


今までにない色付いた目に心臓がドッと不規則な脈を打つ。


ダメだ、良くない欲が出てきてしまう。

もっとその顔が見たい。

困ったような、恥じらうようなそんな顔がもっとみたい。


「ほんとに可愛いです、葉桜さん」


「うぇ?ほ、ほんとにどうしちゃったの〜?」


先程より赤みをました頬。じっと見つめると伏せ目がちに私から視線が逸れてしまった。まってよそ見しないで、私を見てて。


「葉桜さん」


私は考える間もなく葉桜さんの手を取っていた。

私からそれた視線が慌てたように戻ってくる。

ぽかんとした顔をしている葉桜さんの手を体ごと引き寄せ、華奢な細い腰を抱く。私よりも少しだけ高い身長。目線はほぼほぼ直線に混じり合う。


ピクっと反応した葉桜さんの体に良くない考えが過ぎり、この人をどうにかしたくなる。


「葉桜さん、好きです」


「.......え?」

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