勇者一行と魔王の対面
私がエリナと、百合の花びらを満開にさせた後日。
魔族方の準備が整ったとの事で、城に呼び出された私達は魔王に謁見した。
さてこの魔王陛下、結構プレイヤーからの人気があったりする。
私が知る限り、魔王×アルト君の薄い本が多数あったかな。
いや、私はあまり興味がないから当然スルーしたけど。
魔王のギャラデザインについてだが…
黒髪頭の両サイドから、カッケェ角が生えてる中々の美丈夫である。
衣装も黒ベースで統一されている。
そこから低音なイケメンなボイスが出るのだ。
一昔前のRPGにおける魔王なんて、筋肉ムキムキマッチョマン(変態ではない)が当たり前だった。
それが今となってはデザインやグラフィック技術が向上して、敵も味方もイケメンと美女ばかり。
そんな時代か、と感慨に耽りながら一周目をプレイしていたものだ。
っと、話が逸れたな。
「久しいな、王国の聖女よ。我が寄越した使者に先んじて、この魔都に至るとはな…よもや思わなんだ。準備不足を詫びよう」
相変わらず良い声だな。
一回私の耳元で囁いてくんねぇかな。
…
いや、イケメンとはいえ流石に野郎からのASMRは御免だ。
そういう趣味は無いし。
そう言えば、今生ではまだ耳を責めてもらった事が無いな。
今度アーシャかエリナにしてもらおうかなぁ。
私も白目剥いて、背中ビクンビクンしてみたいなぁ。
アレ結構クセになるんだよ。
耳舐めによる外耳炎や中耳炎が心配だが、浄化魔法使っとけば大丈夫やろ、知らんけど。
っと、思考があらぬ方向へ行ってしまった。
「とんでもございません。恐れながら私共も、陛下のご尊顔をいち早く拝謁したく。つい急ぎ足になってしまいました」
((((アレが急ぎ足!?んな訳ないでしょうが!))))
ん?仲間達から心の慟哭が聞こえた気がしたが、気のせいか…
魔王としては、我々の到着は想定外に早かったようだ。
多少の嫌味を言われたが、とりあえずは社交辞令で返しておいた。
「まあ良い。して、貴様らが勇者一行か。ふむ、その力…なるほど。侍らせた女二人も、悪くない面構えよ。そこのサティアと、戦場でやりあっただけはあるな」
魔王は値踏みするように、アルト君やアーシャ、エリナを品定めしている。
そして一応は、そのお眼鏡に適ったようだ。
いやぁ、良かったぁ…
宝物殿で一生懸命レベリングさせておいて。
私が物語から退場してからも、彼らには魔族と上手く付き合って欲しいものだ。
裏ボスと闘うにあたって、魔族からの援助は有り難い。
その上で今回、面会における魔王からの好感度は可能な限り稼いでおきたかった。
「えへへ…陛下ぁ、そんなに私を誉めなくてもぉー…くふふっ」
強さの比較対象にされたサティアは自慢げに、そのデカ乳を誇張しながら胸を張っている。
この巨乳バカ魔族め、そのダラシねぇ乳を往復ビンタしてやろうか。
「そ、それはどうも…俺はアルトと言います。魔王様にお会いできて、俺たちも光栄です」
アルト君は相変わらず、こういった場面での対応は不得手らしい。
「陛下こそ、ご機嫌麗しゅう御座います」
私は顔に笑みを貼り付けて、至極丁寧に返答した。
お偉方には、そのくらいが丁度良い。
「そう緊張するでない勇者、楽にせよ。そして聖女よ、貴様は相変わらず慇懃な女だ。だがなぁ…ククッ…」
ん?なんだ?
魔王が何か言いかけているが…
「貴様は我と初めて相対した後…我が覇気に当てられ、帰路では情けなくも…フフッ…小便を垂らしていたそうではないか。所詮は、健気な人間の虚勢であったか」
ファッ!?
「「「………(勇者一行によるティアナを蔑む視線)」」」
や、ヤメロォ!お前達!
確かに、前世のパワハラ上司を思い出してチビったのは事実だが!
少しだけじゃあないか!
やめろぉ!
畜生ぉ…こんな事なら、早々に浄化魔法を使っておけば良かった!
私は完璧清純派の聖女なんだ!
そんな目で見るなぁ!
アルト君は特にヤメテ!
…
ん?
サティア…
このクソ女…何ニヤついてやがる。
ッ!?
まさか、魔王にオレの粗相を漏らしたな!
ションベンなだけに!
クソォ!
「ッ!?…まさか…………………まさかサティアさん…アナタ、魔王陛下に何か吹き込みましたね!?」
私は鬼気迫る勢いで、サティアに詰め寄った。
マジでコイツの乳をビンタしてやろうか。
私が本気を出して乳ビンタしたら、テメェの乳なんて吹き飛んでR-18G指定になるぞ。
「ッぷぷッ…さ、さあな…ぷっ、ぷすぅ…な、何の事だか…ぐふっ…ぷぅー…クスクスッ…ざ、ざまぁ、このお漏らしクソ聖女ッ…っぷぷぅ………ぶほぉwww」
くぅ!このクソ魔族女ぁ!
つるんでやがる!
コイツら…つるんでやがる!
寄ってたかって、このオレ様を…
弄んで楽しんでやがる!
この鬼!悪魔!デカパイ!
このクソ女はあの戦場で殺しておくべきだった!
クソが!クソが!クソがぁ!!
今まで築き上げた私の清廉潔白なイメージに、棄損が生じるじゃねえか!!
「こ、こんのクソアマぁ!何晒しとんねん!ドタマかち割んぞアホンダラァ!あ゛あ゛ん!?いてこましたろか!?オ゛オ゛ン!?」
「「「………(一同絶句)」」」
あ、やべ
「…………………………………………ン゛ッン゛ン゛!!失礼、陛下。誓って私は粗相をしておりません。この醜聞は、どうか吹聴せぬよう平にっ!!平に、お願い申し上げます、何でもしますから!!ホラ、皆さんもそう思いますよね!?ねっ!?お願いですから、こんな嘘信じないで下さいね!」
い、いけない。
何だか最近は、自制がきかないと言うか…
少しばかり、冷静さを欠いてしまいました。
テヘペロ♪
ティアナ、反省♪
再発防止に努めます♡
「「「………(勇者一行によるティアナを憐れむ視線)」」」
みんなヤメテぇ!
憐れむようなそんな目で、私を見つめないでぇ!
違うの!
私は聖女なの!
清く正しい聖女なの!
「それは今後、貴様の行い次第だ」
魔王様ド正論やめて…
もう私の心の余裕はゼロよ。
「……さようでございますか……そ、それはそうと、奥方様の御身体の加減はいかがでしょうか?」
「ふむ…特に変わり無い。むしろ、以前にも増して壮健だ。此れが偽りの治療であったのなら、今にも約定を破棄して王国に攻め入ったものを…まこと残念よ」
私の治癒魔法ならば不治の病も瞬く間に治るので、それは無用の心配だがね。
それでも愛妻家の彼だ、しばらくは病気が再発しないか不安だったのは理解できるが。
「それは重畳にございます」
「ふん、まあ良い。貴様らを呼び出したのは我が妻、エキドナからのたっての希望でな。経過観察のために、貴様を王国から態々呼び出したのだ。勇者の面を拝むのは、そのついでよ。しかし、呼び出したのも此方の都合故な、滞在の費用は我が持つとしよう。存分に我が都を見聞せよ」
アルト君達を呼んだのはついでかよ!
まぁ私だけ召集されても、一緒に連れて来たがね。
しかし、さすがと言うか傲岸不遜な態度を極める魔王だ。
この完璧聖女な私を馬鹿にするし!
まぁ…そんな魔王も、まだ奥さんが心配らしい。
前回の施術で、完璧に治してやったのにな。
どんだけ愛妻家なんだよこのクソ魔王。
お前の私達に関する好感度は上がっても、私のお前に対する好感度はバーゲンセールだぞ。
わざわざ頑張って!
裏ワザを使ってまで超速で来たのに!
こんな辱めに合うとは、最悪だよこのクソ魔王!
こうなったら、復讐でテメェの妻をブチ犯してやろうか。
テメェの眼前でエキドナのアヘ顔ダブルピースかましてやるぞオラ。
あぁ、でもそうすると私の計画が狂う。
当然、魔王はガチギレするだろう。
魔族社会は大騒ぎ。
当然、王国との関係にも影響が…
今社会を混乱に陥れるのは、私としても不本意だ。
トゥルーエンド後は、世界がどうなろうと知ったことでは無いが。
うぅむ…何とか計って上手いこと意趣返しをしたいなぁ。
うーん…
いや、後の楽しみとして取っておこう…
トゥルーエンド後にアルト君達が王都へ帰還すれば、隙ができるはず。
姿を偽れば、私が魔都に行ってもバレない自信はある。
エキドナにアヘ顔ダブルピースさせる前に、今のうちから下準備として、開発しておいても良いかもな。
ネイのように調教すれば、魔王には気取られる事は無いだろう。
経過観察と称して、秘密裏にアイツの妻を寝取ってやるのだ!
「ご負担、痛み入ります。それと、恐れながら私共からも魔王陛下にお願いがございます。皆さんも、よろしいですね?」
アルト君達は、私に向き合って頷いた。
魔王にも例の秘宝について話しておくか。
「許す、申してみよ」
「魔族に伝わる、”秘宝”を捜索したいのです」
「秘宝?何だ、それは」
「それをご説明するため、まずは私が調べ上げた魔族と人間の歴史をお話しいたしましょうー
・
・
・
「ほう、貴様の言うとおりならば…秘宝を揃えぬ限り、この和平も長くは続かぬ、と」
「はい。争いの原因は、都度多岐に渡りますが、概ね陛下のおっしゃる通りでございます」
「原因が何であれ、だ……この我が、和平を結んでやった我が、簡単にソレを許すと思うか!?愚かな人間どもよ!!」
おおぅ!
ここで威厳を示さんとばかりにプレッシャーを解放してきたな!
まぁ、一度対面してる私はもう大丈夫だが!
さすがに二度目のお漏らしは勘弁よ!
「ッ!物凄い重圧だ!ティアナはコレに立ち向かったのか!ダメだ…今にも押し潰されそうだ!」
アルト君、魔王の放つプレッシャーの中で解説ありがとう。
私がおしっこ漏らした事を理解してくれそうで何より。
「ティ、ティアナ!何とかしなさいよぉ!アンタのせいでヤバいじゃないのよ!」
この重圧をアーシャにも体験して欲しいから、少し放置しても良いかな。
「くっ…まさか魔王がこれ程までとは!今の王国騎士に、この覇気に抗える人間はいない…あぁ…コレは新しい…」
あ、エリナは何かに目覚めたな。
やはり生粋のドMは違うなぁ。
「ふふん!どうだ!人間ども!魔王陛下の本気はこんな物ではないぞ!いいぞ!もっとやって下さい魔王様!」
馬鹿なサティアは、いい加減に喋るのやめてくんねぇかな。
小物感ぱねぇっすよ。
仕方ない、アルト君達が可哀想だから止めてやるか。
「ええと、魔王陛下…さっき奥さんの体調が悪化したら、王国に攻め込むとか言ってたじゃないですか」
「あっ…………………そう言えばそうだったな。うむ…なんだ……やはり奸計もありえるな!」
今“あっ”って言ったぞこの魔王。
コイツ実は馬鹿なんじゃね?
ゲームから印象がだいぶ変わったぞ。
これなら存外、奥さんを容易に寝取れそうだわ。
「よし、その秘宝とやらは知らんが、捜索への協力を約束しよう。ただし、発見された秘宝をどうするかは我が判断する。ゆめ、我の機嫌を損ねぬ事だな」
「陛下のご協力に、深く感謝申し上げます」
さて、何だかゴタついたが…
勇者一行が魔都で活動する事に対して、魔王から許諾を得る事ができた。
これで、ある程度は自由にさせてもらえるはずだ。
魔都に到着してから体調も良くなってきたし。
せっかくだから秘宝ゲットまで、色々楽しませてもらおうかな。
よし、とりあえずあそこ行くか。
都市部に観光へ行ったら、まずはソコに行かなきゃな!
異世界TS転生曇らせ愉悦部が失敗するだけの汚話 アスタロット @yuruxya
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