聖女と間者と

私達が宝物殿でお宝ゲッチュしている間に、王国と魔族国は和平交渉を上手く進めていたようだ。

不安材料として、抗戦派の貴族による何らかの妨害工作が予想されたが…

魔族との徹底抗戦を唱える彼等は、不思議と鳴りを潜めている。

何故か。

抗戦派に雇われた工作員を、カウンターとしてヤツらに差し向けたから。

 

アナちゃんは良い手駒だ。

 

元々彼女は間諜として育てられたのか、拷問などの痛みには強い耐性があった。

だから一般的な尋問官は、彼女を躾けるのに些か手間取る。

だが私は、強烈な痛みを伴う身体破壊と、完全治癒を彼女に繰り返した。

 

まずは指先の爪から…各所の関節や骨を破壊してやった。

死なないように、治癒を施すのは難しい。

拷問に夢中になって殺してしまっては、意味がないからね♪

 

結果的にはやりたい拷問リストを全部できないまま、簡単に陥落したよ。

清廉潔白な聖女がえげつない拷問するとか、我ながら結構興奮した。

 

緊張と弛緩は拷問や洗脳の必須スキルだ。

諸君らも今後の参考にしてほしい。

 

それとスパイとしてはかなり優秀だよ、彼女。

パーティーの誰にも気取られずに私の寝所まで容易に来れる。

だから報告ついでに、今日も彼女を味合わせてもらった。

 

 

「あの…その…ティアナ様…お願いがございまして…」

 

「何ですか?アナさん」

 

事後の私は、アナちゃんを膝枕で寝かせている。

私のデカパーイに遮られて、アナちゃんの表情は分からない。

 

「お母さん…って呼んでもよろしいですか?」

 

「あらあら!まぁまぁ!嬉しいですね。元より私達は、家族のようなものじゃないですか」

 

「ほ、本当に良いのですか?」

 

「勿論、良いに決まってるじゃないですか」

 

「あぁ…あぁ…お母さん…お母さんッ…!」

 

「あんっ…よしよし、良い子ですね。アナタは最高の娘ですよ」

 

私は彼女の頭を優しく撫でながら、今度は自分の身体を差し出した。

どうやら私はアナちゃんを、赤ちゃんプレイに目覚めさせてしまったようだ。

残念ながら、今の私はミルクは出せないがね!

前世の性別なら、別のミルクは提供できたがね!

 

っと失礼…

 

しかしながら、今の私は処女だ。

妊娠はあり得ない。

中身は邪神由来のグロ素材だから、受胎するかも分からない。

いや妊娠は死んでも御免だから、大歓迎なんだけれども。

誰が野郎どもの子供なんか孕むか。

悪いが仲の良いアルト君でも、さすがにゴメンだね。

元同性に抱かれて妊娠するくらいなら、私は物語から消え去る事を選ぶよ。

 

あと正直な所、アナちゃんについては本当は家族とも、何とも思っちゃいない。

彼女の器量は良いからな。

暫くは、紛い物の母娘ごっこをしてやろうと思う。

いつか彼女に、お役御免を言い渡すタイミングが楽しみだ。

 

私に依存しきっている女を時に冷たく、時に優しく突き離す。

その際の快楽は、いつになってもやめられない。

 

“愛するアナタの為を想ってそうするんですよ”

 

色々なパターンがあるけど、概ねこんな風に相手を慮って突き離す事が大切だ。

愛が大切なんですよ、愛が。

 

ふぃ〜今日はアナちゃん相手にスッキリできたし、満足満足。

 

魔族との和平交渉も順調なら、王都から移動する日も近いな。

宝物殿ダンジョンはクリアしたし。

秘宝もゲットできたし。

 

王都からオサラバする前に、王妃でも抱き潰しておくかなぁ…

 

あっ…

 

王妃つながりで、彼女の存在を忘れてた!

 

あー!良かったぁ!

思い出して!

 

王妃以上の美人が王都に居るの、すっかり忘れてたよ!

ゲームだとほとんど出番無いから、仕方がないけどね。

 

危うく忘れたまま王都を離れる所だった。

危ない危ない…

 

彼女に手を出すのは、正直な所リスクが物凄く大きい。

それこそ、仲間の一人を敵に回す可能性だってある。

もしかしたら、国家を敵にする事も…

 

いや、王妃を手篭めにしている時点でアウトなんだから、気にしちゃダメ。

私は私の願いを叶える為なら、手段を選ばないのだ!

 

さぁ、思い立ったが吉日!

彼女に会いに行こう!

 

エリナのお母上に!

 

 

 

「うっ…オェ…おげぇ…ぎもぢわるい…」

 

「だ、大丈夫ですか!?お母さん!」

 

そういえば最近、たまに吐き気を催す。

 

「え、ええ…何ともありませんよ、アナさん」

 

「体調が優れないのに…申し訳ございません、お母さん」

 

「そんな事、気にしないで下さい。きっと一時的な症状(二日酔い)ですから」

 

酒を飲み過ぎているかもな。

今までは二日酔いも、すぐに治ったんだけど。

 

とりあえず治癒魔法をあとで使っておくか。

それにしても、吐き気が治らん。

 

「おっ…おげぇ…オロロロロロ…」

 

「お母さん!お母さん!」

 

とてもアルト君達には見せられない光景だった。

同席者がアナちゃん一人で良かったわ。

 

よし、今後はレインボーカラーになるよう、吐瀉物を加工するとしよう。

魔法を応用すれば可能なはずだ。

 

しかし、不思議だ。

昨日は酒を飲んでいない筈なんだがなぁ。

まぁ、いいかぁ…

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