俺の新しい家族は……

錦鯉

第1話

ある日の雨上がり、久々に父親が帰ってきた。

「あの女とは別れた。あのゴミが、金だけ持って逃げやがった。」

またこれか。いつもこうなのだ。父親は顔がいいし仕事もできる。だが付き合ってみると性格が破綻しているために毎回こうしてすぐに別れるのだ。

「ところでお前、なんで家にいる。家に置いてやっているんだからバイトでもなんでもしてさっさと金を稼いで来い。」

「今バイトから帰ってきたんだよ。てか俺の生活費から金盗んで行くのやめてくれない?俺だってやりた」

「うるせぇよ!お前は金を稼いで俺に渡す。それが産んでもらった恩に報いるってものだろうが!大体お前さえいなければ食費だって生活費だって浮くのによ」

「………」

こうなってしまってはもうないも言わないほうがいいのだ。昔こいつと付き合っていた彼女がそうして酷い目にあったのを目の前で見た。

「あぁもう!お前のせいでイライラする!キャバクラ行ってくるから金だけよこせ!」

結局俺の金はこいつに持って行かれてしまった。今日はもう遅い。こんなことは忘れてもう寝よう。そうして俺は眠りに入るのであった。

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