Lea lea(レア レア)

天野 みろく

第1話 悪友

高校生の時、悪い友達がいた。

そいつの名はA。原付の二人乗りは当たり前だし、万引きの常習だった。

とりわけ万引きの腕は凄かった。


A 『今度さ、釣竿盗みに行こう!』


私 『万引きは辞めようよ。ダメだよ。』


A 『何だよ。今さら、散々一緒にやったくせに。』


そう、私も奴にレクチャーされ、何度か万引きをした事がある。

ガムとか、20円位のチョコとかだった。


私 『釣竿は金額がやばいよ。辞めようよ。』


A 『20円だろうが、1万円だろうが、万引きは万引き。同じだよ。』


エスカレートして行くAとは、もう一緒にいられないと感じていた…


奴と仲良くなったキッカケだが、生い立ちが私と似ていたからである。

Aも幼い時に両親を亡くし、歳の離れたお姉さんに育てられていたからである。


が、圧倒的に私と違うのが悪い事をしても罪悪感が彼にはみられなかった。

それどころか、どんどんエスカレートして行く。


Aのお姉さんはかなり厳しい人だった。

かなりの教育熱心なお姉さんで、成績が悪いと家の外に聞こえるくらい大声で説教されているのをよく見かけていた。


彼もまた甘える人がいなく心の逃げ道がなかったのかもしれない。


そんな厳しいお姉さんだったが、海の素晴らしさを教えようとAをダイビングスクールに通わせていた。


私はAを羨ましく思っていたが、当の本人はイヤイヤ通っていた…


私 『今度さ、ダイビング見学に行ってもいいか?俺、海大好きなんだよ。』


A 『全然、大歓迎だよ。今度の日曜日海洋実習だから迎えに行くよ。』


私 『やったー!』


と言う事でダイビングの講習を見学出来ることになった。

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