放課後の私たちの秘密

グレンディ

放課後の私たちの秘密

部屋を掃除しているとひなこはふと古い日記帳があることに気が付く。なつかしさにページをペラペラめくるとあるページで指先が止まる。

「なつかしいな」


それは高校三年生のある夏の日。夕方でもまだ日差しが強いの出来事。

ひなこはふらりと旧校舎に立ち寄ると何かに引き込まれるように

旧図書室に吸い込まれっていった。

図書室は静かで、古びた本の匂いが漂っていた。

ひなこが何気なく本棚を見ていると、一人の少女がひなこに声をかける。


「こんなところに人が来るなんて珍しいね」

驚いて振り返るとそこにはクラスメイトのレイラがいた。銀髪で肌が白く赤い目をしている美少女だが近寄りがたい雰囲気があった。

「レイラ…?なんでこんなところに?」

「それはこっちのセリフよ。」

そんな何気のないやり取りが私たちの秘密の始まりだった。初めはたわいのない話を語り合っていたが時には人生の悩みまで語り合う中になった。」


しかし、ある日、レイラは少し戸惑った表情でひなこに尋ねた。

「ひなこ、お願いがあるんだけど…」

「うん、何でも言って」

「私…実はヴァンパイアなんだ」

突然の告白に驚きながらも、ひなこはレイラの目をじっと見つめた。そこには嘘偽りのない真実が映し出されていた。

「だから、血が必要なの…ひなこの血を、少しだけ分けてくれない?」

ひなこは一瞬、ためらった。しかし、レイラの悲しそうな目を見て、彼女は決意した。

「いいよ、レイラなら…」

ひなこは髪をかき上げて首筋を差し出した。レイラの冷たい指が軽く触れ、次に感じたのは、優しくも鋭い痛みだった。彼女の唇が肌に触れ、ひなこはかすかな吸引感を感じた。


ひなこたちの関係は友情から愛情に変わっていった。愛情表現も最初はぎこちなかったが

だんだんと熱を帯びていった。二人の甘い声だけが静寂な旧図書室に響き渡っていく。


「ピンポーン」

インターホンの音でひなこは途端に現実に引き戻された。慌てて日記を隠して扉を開けるとそこには変わらない微笑みを浮かべたレイラが立っていた。


「ただいま、ひなこ」

「おかえり、レイラ」


あの時から数年がたち、ひなこたちは恋人として一緒に生活をしている。ひなことレイラは腕を組んで寝室に向かい熱く愛情を確認するのであった。

あの時は暑い旧図書室の中で、今は冷房の効いた涼しい部屋の中で


おしまい

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放課後の私たちの秘密 グレンディ @artaiueo

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