第13話 信長伯父さんと命がけの問答をする羽目になったよ!
織田坊丸です。信行パパが清洲城に呼び出され、その後予想通り謀殺されました。
で、今、信長伯父さんが末森城の広間で、信行パパ討伐の理由等を大声でみんなに伝えます。
と、突然、自分のことが議題に。
え、俺、殺されちゃうの?出家させられちゃうの?知ってる歴史と違うっぽいんだけど。
あ、柴田勝家と土田御前グランマが助命嘆願してくれてます。頑張って、勝家&グランマ!
勝家が、身柄を引き取ってくれるって言ってくれてる!ありがとう、勝家!
って、話の流れで、信長伯父さんと直接話す流れになっちゃったよ!何も準備してないよ!大丈夫かな?信長って歴史上の有名人と直で話せるよ。伯父さんだけど。しかも、話の内容に自分の命がかかってるぽいし。やるしかない!ガンバ、俺!
「坊丸様、こちらへ」
「はい」
ヤバいよ、ヤバいよ。勝家の誘導で末森城の大広間で信長伯父さんの、正面に座らされちゃったよ。なんかに、信長伯父さん、ものすごく見つめて来るんですけど。どうする、どうするよ、俺。と、とりあえず、挨拶だな。
「伯父上様、お初にお目にかかります。織田信行が嫡男、坊丸にございます」
よし、自己紹介言えた。
「坊丸と申すか。ふむ。そなたの父、勘十郎信行は、儂に刃向かったゆえ、討伐した。わかるか?」
「は、家督を継いだ伯父上に刃向かい、家督を奪おうとしたが叶わなかった父が討たれるのは道理と存じます」
この答えで大丈夫か…正解がわからん。
「で、あるか。本来ならば、謀反人の子供は、後々の憂いとならないように、殺すか出家させるが普通じゃ、これもわかるな」
「はっ、平相国清盛は、あい争った源義朝の子を許し、後に許した子、源頼朝に討たれたことなどがございますゆえ」
とりあえず、そういう例があるのは知ってるよってアピールしてみる。なんか、信長伯父さんの眉がピクって動いた気もするけど、正解じゃなかったのか…
「母上、勝家がそなたら信行の子らを助命するよう願い出ておる。頼朝公のように父の仇を討とうとすること無く、儂の配下として決して背かず生きると誓えるか?」
「はい、父、信行のように伯父上に背くようなことは、織田坊丸、決してございません。信長さまの天下取りを支えたく存じます」
よし、これは、正解でしょ。助命確定でしょ。
あれ、伯父上、なんか目を細めてこちらを微妙な表情で見てくるんですが?どこか間違ったか?わからん!
「坊丸、儂が天下を取るか!はっ!命惜しさにおもねるのも大概に致せ」
やっべ、なんか、信長伯父さん少し怒ってらっしゃる様子。
「恐れながら、申し上げます。伯父上は、今、父、信行を討ち、織田弾正忠家をまとめました。尾張内部の敵は、伊勢守家の信安殿のみ。尾張をまとめれば、美濃、近江と切り取り、京にたどり着けます。伯父上は、尾張一国で終わる方でないと、思います。」
前世の知識だとこんな感じで、足利義昭を将軍にするんですよね。
「坊丸、信行に何を聞かされたか知らぬが、甘いな。所詮は、信行の受け売りの浅知恵か。尾張一国取ったとて、三河、遠江、駿河を有する今川がおる。美濃とて斎藤がまとめておる、尾張一国まとめたとて、すぐに天下にはたどり着けぬわ。それとも、何か知恵があるか、坊丸?」
あ、伯父上に、なんか残念な子扱いされ始めてる感じ?
あ、そうか、今の時点の織田信長は、自分が桶狭間の戦いで今川義元の首をとっちゃうの知らないのか!
これは困ったなぁ、「今川義元なんか討ちとれちゃうから怖くないよ!」なんて言ったら、完全に残念な子だよね。
な~んか、うまいこと考えて切り抜けないと。
「畏れながら、今川に対しては、三河の一向衆を焚き付けて一揆を起こさせるか、松平の血族を、調略し、松平の家臣どもを焚き付けて防波堤とするがよいかと。
美濃については、稲葉山の斎藤と西美濃、東美濃の国人を調略して力を削った後に攻めるがよいかと。我ら織田弾正忠家は、信定のひいお爺様、信秀のお爺様、信長伯父上と何代にも渡って守護の斯波様、守護代様の代理として、尾張のために矛となり、盾となり戦って参りました。それに比して、美濃の斎藤は、道三が一代で守護代となり、さらに守護の土岐様を、追い出しております。美濃斎藤と国人の絆は、織田に比べれば格段に弱いのでは?今川対策と美濃攻略の策、いかがですか?」
「坊丸、幼子にしては、賢い。そして、そなたの策、面白かった。甘いところはあるが、な。坊丸、そなたらの身柄は、勝家に預ける。勝家のもとで、励め。元服したら使ってやる」
「はい」「はっ、坊丸様ら信行様のお子のこと、お任せください」
「坊丸、命は許す。なれども、今後は織田名乗りは許さぬ。今後は、津田を名乗れ、良いな」
「伯父上の寛大な裁き、ありがたき幸せに、ございます。今後は、津田坊丸として、柴田勝家殿を父と思うて、励みまする」
「で、あるか。以上を以て、此度の仕置きを終了とする」信長伯父さんは立ち上がって、あたりを睥睨した後、良く通る声でそう宣言した。その様子を見た後、これで正解だったかすこし首をかしげながら、頭を下げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます