第645話
聖羅 さんがログインしました。
『まさか聖羅がネトゲやるとはなぁ……』
『完全に予想外だったわ』
想像できるだろうか?
素敵なインターネッツのゲームの中で、そんなもんとは縁のなさそうな美少女と遭遇するというシチュエーションを。
そりゃビックリします。
『よく俺だってわかったな?』
『多分大試は、リンゼと2人だけでプレイしていると思ってたから、それっぽい人を探してみた』
『……まあ、うん……』
『それはまあ……そうかもしれないけれどね……』
『それに、なんか大試っぽかった』
『え?どこが?ただのムキムキの筋肉男だぞ?しかもパンツ』
『うーん……挙動?』
『達人の着眼点だな……』
『流石ね……』
だがしかしだ!
『聖羅!俺達には、もう1人フレンドがいるぞ!』
『そうなの?』
『ええ!今私たちのギルドは、3人体制なのよ!あと、1人サポートキャラもいるから、実質4人体制ね!』
『すごい、大試とリンゼが新しく友達作ってる……』
『『……』』
ちょっとだけ俯く俺とリンゼ。
確かに驚くべきことなのかもしれないが……。
それに、新しい友達でもないんだが……。
『そもそも、よく俺たちがこのゲームやってるってわかったな?俺を探してたって事は、俺とリンゼがこのゲームやってんの知ってたって事だろ?』
『うん、部屋の中に入ったら変なの頭につけてたから調べた』
『まて、部屋は鍵かけてたんだが?』
『ん?大試の部屋の鍵なら、婚約者は皆合鍵持ってるよ?』
『え?…………リンゼ?』
『……』
おい、こっちを向け公爵令嬢。
『本当は、もっと早くこうして一緒に遊ぼうと思ってたんだけど、大試の隣で添い寝するのが嬉しくて、ついつい後回しになっちゃった』
『添い寝?』
『うん。意識ある時だったら許してくれないから』
『…………ちょっと待ってろ』
俺は、即ログアウトしてヘットギアを外した。
すると、俺が横になっていたベッドの上、右隣に、同じくヘッドギアをつけた美少女の姿が。
とりあえずお姫様抱っこで聖羅の部屋のベッドに連れていきました。
それはそれとしてだ……。
俺は、また部屋に戻り、今度はさっき聖羅が寝ていたのとは逆隣りの方を見る。
そこには、白い奇麗な髪の眠り姫がいた。
はい、有栖様ですね。
とりあえず有栖も自分の部屋に連れていき、ベッドに横にした。
俺は、再び自分の部屋へと戻り、ベッドに横になると、ヘッドギアを装着した。
『ただいま』
『おかえり』
『聖羅、後で鍵没収な』
『わかった。予備あるから大丈夫』
『……あ、それと、有栖も一緒にいたんだけど?』
『どっちが先に大試たちを見つけられるか競争してた。私の勝ち?』
『……そうだな、お前の勝ちだ』
『んふっ』
ドヤ顔の聖羅。
この聖女様、全く悪びれる様子が無い。
可愛いから許すが。
『他の娘たちにも教えたから、その内いっぱい大試とリンゼのフレンドが増えると思う』
『何してんだお前……』
『大試も、インターネットのゲームやってるなら、私に教えてくれたらよかったのに』
『いや、聖羅とネトゲがイメージで全く結びつかなくてな……』
『えぇ、聖羅はもっとキラキラしたゲームやってそうよね』
『大試がいるってだけで、私がやる理由としては十分だから、教えてほしかった』
『いやぁ……ネトゲをやっていることをそのネトゲやってない奴に教えるのって、勇気がいるっていうか……な?』
『緊張するわよね……』
俺とリンゼ。
基本ソロプレイヤーの2人に、リアルでネトゲのフレンドを探すというハイレベルミッションを要求しないでほしい。
確かに聖羅は、パーティゲームとかであればやる。
というか、俺がやってると一緒にやりたがる。
そして対戦物だと、俺だけをマークして徹底的に叩き潰しに来る上、滅茶苦茶強い。
俺の動きを数戦で覚えることで、それ以降俺の行動を完全に先読みしてくるので、ゲーマーとしての才能は、明らかにずば抜けたものがあると思う。
だけど、どうしてもあの開拓村で生活していた純朴?な少女ってイメージが強いので、ネトゲなんて危険地帯にやってきてくれる気がしなくてなぁ……。
それに、リアルの友達にネトゲ誘われるのとか、なんか面倒くさい事になりそうじゃん?
もし断られたら、そのゲームに興味無いとか、お前とはやりたくないとか、そういう感じの否定をされてるんだろうなって思っちゃって、相手は全く悪くないのに自分1人で傷ついたりしそうで……。
いや、リアルでネトゲに誘えるような知り合いなんて殆どいたためしがないんですけどね?
神也が逆に誘って来てたけど、アイツの作るキャラは、どれも限界までおっぱいがデカくされてる上、尻と太ももも最大サイズにされててキモかった。
そんな感じで、聖羅には教えずにコソコソとプレイしてたんだけど、バレたか……。
俺がリンゼと苦笑いしたその刹那、俺の視界が横へと吹っ飛び、背中から激痛が走った。
「ぐえ!?」
ゴロゴロと地面を転がり、建物の壁にぶつかってやっと止まった。
腹に何かが絡みついている感覚がしたので見てみると、人間の腕らしく、抱き着かれているらしい。
俺は、その腕の主を確認するために背中側を振り返る。
うん、見たこと無いキャラだな?
でも、行動から誰かわかったわ。
というわけで、フレンド通話っと。
『有栖、突撃しなくても声かけてくれればいいんだぞ?』
『申し訳ありません!申し訳ありません!つい!』
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