ペニーグラス・ストーリー~ 200 字小説の詰め合わせ

桜盛鉄理/クロモリ440

第1話 ありがとう

「会いたい」と、洋子からメールが届いた。彼女の帰郷と同時に、僕らの交際は終わったはずだった。だからそう返信した。


 翌日にもメールは届いた。返信はしなかった。

それでも毎日同じ時間に、洋子は同じ内容のメールを送ってくる。

会いたいと繰り返す、一方通行のメールを。


 次の休日に実家を訪ねた。

しかし彼女には会えず、代わりに僕はまだ新しい献花のある墓に案内された。

そのとき、携帯がメールの着信を告げた。

「ありがとう」

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