めちゃくちゃな愛情集
テラル
BARでの出会い
仕事終わりに良さげなお店を見つけたので入ってみた。
そこは、静かで人の少ない店だった。
俺はカウンター席に向かい席に座る。
そこでちょうど、バーテンダーさんが裏から出てきた。
その人はとてもきれいで少し見惚れていた。
バーテンださんと目があったので慌てて目をそらす。
そこでバーテンダーさんは一言。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
と短く聞いてきた。
お酒の知識を持たない俺はバーテンダーさんに
「飲みやすいものを一つお願いします!」
と注文した。
バーテンダーさんは
「わかりました。」
と反応してからグラスを一つ用意した。
そこに色鮮やかなお酒を複数入れて混ぜた。
そして俺の目の前には鮮やかで綺麗なお酒が一つ置かれた。
「こちら、テキーラ・サンライズです。」
目の前のお酒を少し口に含むと甘くとても飲みやすいものだ。
お酒を少しずつ楽しんでいるとドアを開た時になる鈴の音が鳴る。
女性が1人入ってきた。
俺はそれを少し確認してから目の前のお酒を楽しむ。
新しく来店した女性は俺の隣の席に座り、慣れたよう手順でお酒を注文している。
その姿に少しの憧れを持ちながら少し見ているとお隣の女性と目があった。
僕は慌てて目をそらすと彼女は俺に対して話しかけてきた。
「何を飲んでるんですか?」
「て、テキーラ・サンライズっていうのを……」
「そっか~美味しい?」
「はい、初めてなんですけど飲みやすくて美味しいですね。」
俺は彼女を少し警戒しながら質問に答える。
彼女は俺のそのような様子に気づいたのか少し笑いながら
「そんなに警戒しなくてもいいのに。
でも警戒させたのは私だからね。
ん〜、お詫びと言ってはなんだけど私のおすすめを一つ奢らせてほしいかな。」
と少し申し訳無さそうな表情をしていた。
まぁ、お酒を飲めるならと思い
「じゃあ、おすすめ一つ飲ませてくれたら良いですよ。」
と言った。
彼女は少し含みがあるような笑みを浮かべたあとにバーテンダーさんに対してお酒を一つに頼んでいた。
少ししてから俺の目の前にはこれまた色鮮やかな色のお酒が置かれた。
彼女は俺を見ながら少し笑っていた。
俺は少しずつ飲んでいくが意外と好みの味だったので飲む量が少しずつ増えていき気づいたら無くなっていた。
隣の女性は飲んでいた飲み物を俺の前に置いてきた。
そして
「これも飲んでみなよ!
これもそれと同じような系統のものだから多分気にいるよ!」
と言っていた。
お酒で少し頭が回っておらず勢いよく飲んだ。
そこで俺の意識は途切れた……
「あれ?寝ちゃったの?」
目の前の彼女は白々しく目の前の彼に話しかけている。
「仕方ないな〜、ホテルにでも送ってあげようかな!」
そこで私は彼女に声を掛ける。
「やめておけ、そのまま帰れば何もなかったことにしてやる。」
警告をするように淡々と述べると目の前の彼女は私に敵意を剥き出して
「あなたは関係ないでしょ。」
と言っていた。
私は軽口を叩くように彼女に話しかける。
「関係無いか……ここは私の店なんだがな。
まぁいい、これは独り言だが、ここのすぐそこには交番が一つあってな。
そこの警察の一人は私の顔馴染みがいるんだ。
電話をかければすぐに駆けつけてくれるだろう。
君が彼を連れて行くのが早いか、警察が来るのが早いか。
試してみるかい?」
すると彼女は彼をおいて扉に向かっていった。
そこで彼女に声を掛ける。
「一つだけ言っておこう。
こういった事をやることはあまり批判はしない。
だが、時と場をわきまえることを勧めるぞ。
あと、今回の料金は特に言わないが、ここの店に来る際は合わせて払ってもらうからな。」
なんていうと彼女はさらに怒って出ていってしまった。
私はカウンターを出てお店の出入り口に向かう。
ドアを開きドアに掛けてあるボードをひっくり返し扉を閉める。
「本日は店仕舞いだ。」
「んぅ……」
目を覚ますと隣には綺麗なバーテンダーさんがいた。
「わぁ……綺麗な人だ〜。」
頭があまり回っておらず頭に浮かんだ言葉をそのまま放った。
目の前の人は顔を少し赤くして笑みを浮かべている。
だんだんと意識がはっきりとしてきこれが現実であることを理解する。
慌ててカバンの中の携帯を確認すると時刻は1時を超えていた。
そこで隣のバーテンダーさんに声をかけられる。
「少し酔いは、覚めたかい?」
「は、はい。」
「そうか、それはよかったよ。」
「えっと、何か汚したり壊したりしてませんでしたか?」
俺は少し心配になりバーテンダーさんに対して質問をした。
バーテンダーさんは
「特にそんなことはなかったよ。
むしろ可愛い寝顔でぐっすりだったよ。」
と意地悪な笑みを浮かべて言ってきた。
「か、かわ?!
へ、変な事言わないでください!」
俺は焦って反論の声をあげるとバーテンダーさんは少し落ち込んだような表情で
「悪かったよ。
ただ事実を言っただけなんだがね。
それよりも、帰らなくて良いのかい?
明日も仕事があるんじゃないのかい?」
と心配してくれた。
「う〜ん、明日は有給取ってるんで良いんですよ。
それよりも終電過ぎてるからそれだけですかね。」
俺はそれ以上に変える手段がなくなったことに心配の声をあげる。
「そうか……明日は休みなのか……」
「どうしました?」
バーテンダーさんは少し考え込んでいるようだ。
心配になり声を掛けると何かをごまかすように笑みを浮かべ
「いや、特になにもないよ。
それよりも、帰る手段が無いのかい?
それなら、送ってあげようか?」
と言ってくれた。
この時間に帰るにはタクシーを使うしかない。
しかし、ここからの料金を考えれば恐らく結構な額になることだろう。
考え込んだ結果、バーテンダーさんを頼ってみようと思った。
「お願いしても大丈夫ですか?」
バーテンダーさんは
「構わないよ。
車の鍵を取ってくるから少し待っててくれ。」
と言って店の奥に行ってしまった。
しばらくすると先程の服装とはまた違いかっこいい服装をしているバーテンダーさんがいた。
「さぁ、ついておいで。」
俺はバーテンダーさんに手を引かれながらついていく。
階段を降りて車に案内される。
俺は助手席に座り、彼女は運転席に座る。
エンジンがかかりライトが点く。
夜の道路というのは妙に神秘的で好奇心がくすぐられる。
外の道路を見ているとバーテンダーさんに声をかけられる。
「何か興味をくすぐられるものでもあったかい?」
「これは俺だけかもしれないんですけど、夜の街とか道路って好奇心がくすぐられるんですよね。」
なんて明るく話すとバーテンダーさんは笑みを浮かべて笑ってくれた。
「確かに、夜の景色というのは良いものだな。」
「ですよね!」
そこから少しの沈黙が続いた。
気まずくなったので一つ質問をしてみた。
「すいません、質問なんですけどこういった事ってよくあるんですか?」
「まぁ、お酒の場だからね。
よくあるといえばよくあるよ。」
「いつもこうやって助けてるんですか?」
「いや、いつもは見逃すよ。
他人がどうなろうと知ったことじゃないからね。」
そこでまた疑問が生まれた。
「じゃあ、なんで僕は助けてくれたんですか?」
「助けた………ね……」
バーテンダーさんは少し笑いながら少し言い淀んでいる。
心配になって声をかけてみた。
「どうかしました?」
「今回君を助けた理由はね、君がどストライクに好みだからだよ。」
バーテンダーさんは俺にウィンクをしながら想定外のことを言ってきた。
僕は咄嗟のことだったので情けない声が出る。
「へ!?」
「君は助けられたと思ってるみたいだけど私は君を食べたいと思ってるのだよ。
もちろん、そういった意味でね。」
そこで車が止まった。
バーテンダーさんはこちらを向き顔を近づけてきた。
俺は咄嗟のことで目を瞑ってしまった。
そこで唇に何かが触れる。
「へ?」
またも情けない声が出てしまう。
バーテンダーさんは舌舐めずりをしながらこちらを見ている。
「もし、私に恩を感じているのなら、今日私の相手をしてくれないかい?
まぁ、最初から君の選択肢は「はい」か「YES」の二択しか無いのだがね。」
「そ、それって実質一択じゃ……」
バーテンダーさんの発言の矛盾に指摘をするとそれを笑いながら
「確かに、そうとも言うな。
まぁ、そういうことだ。
今日は相手をして貰うよ。」
なんて言いながら顔を掴まれた。
そこで再びキスをされる。
今回は軽く触れ合うキスを数回するとより濃厚なキスをしてきた。
俺はだんだんと頭がとろけてきた。
「………ぷはぁ……いいね、かわいい顔になってきたよ。」
「も、もう……やめて……」
俺は声を絞り出すようにバーテンダーさんを拒絶する。
するとバーテンダーさんは意地悪な笑みを浮かべている。
「やめて良いのかい?
そんなに物欲しそうな目で見てるのに?」
「そ…そんなこと……」
俺はバーテンダーさんの言葉を否定したいが否定しきれない。
俺は必死にバーテンダーさんの言葉を否定しようとするとバーテンダーさんは
「嫌なら良いんだ。
無理矢理は良くないからね。
今からでもお家に送らせてもらおう。
だが、嫌じゃないと言うなら私のお家で続きでもと思うんだが?」
と正面を向いてしまいエンジンを掛けた。
俺はバーテンダーさんの腕に抱きつき見上げる。
「……お……がいし…す……」
「少し聞こえないな?
何か言ったかい?」
バーテンダーさんは意地悪な笑みを浮かべている。
俺はバーテンダーさんに縋るように声を絞り出した。
「おね…がいし…ます…」
「何をお願いしたいんだい?」
しかし、それでもバーテンダーさんは意地悪をやめない。
俺は顔を赤くしながらバーテンダーさんに縋る。
「……バーテンダーさんの……お家につれてってください……お願い……します……」
「よく言えたね。じゃあ、私のお家に向かうとするか。」
バーテンダーさんは笑みを浮かべて俺の頭をなでてくれた。
今はそれがとても気持ちよくて少し意識が落ちるのだった。
「……少し意地悪しすぎたかな?」
私は隣の彼を少し見ながら自分の言動を振り返る。
しかし、こんな可愛い男の子と出会える機会というのはめったにないので逃がすわけにはいかなかった。
「意地悪しすぎてごめんね。
その分、家ではかわいがってあげるから楽しみにしててね。」
私は彼に聞こえていないこと承知で独り言を呟く。
まだ夜明けは来ない。
この静けさが、彼が隣にいる安心感がとても心地よい。
帰って彼と楽しむことを楽しみにしながら私は車を走らせるのであった。
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