第10話
私はベッドの中でうずくまるしかできない。
回りではドタバタと音がしている。高見沢君はまだ戦っているのかな。
軽いビューンという音から銃を撃っているのがわかった。
”ガンバレ高見沢君。ガンバレ高見沢君“
と、念仏の様に同じ言葉をかけるしかできない私が居た。
”負けないで高見沢君。あなたが居なくなったら、私どうなるのかわからなくなっちゃうよ“
半べそをかきながらベッドの中でうずくまっていると、かん高く乾いたドアの開く音がした。
声に反響音もあることから、恐らくバスルームに入ったのだろうか。
確かめたくても体が硬直して動けないでいる。
”高見沢君大丈夫かな。でも彼なら強そうだしきっとうまくやっている。もう撃退したかもしれない“
楽観的に考えることにした。その方がいい方向に傾くっておばあちゃんが言ってたし。
しばらくすると、今度はバルスルームが閉まる音が聞こえた。
”終わったのかな……“
そう思っていると、ベッドの上に突然どさっと、誰かがなだれ込んできた。
私は心臓が飛び出るかと思いながら、猫の様に丸まっていた体が、びっくりして手足が思いっきり伸びきった。
飛び込んできた相手は動く気配が無い。
”幽霊なのかな、きっと高見沢君だよね……“
しばらく様子を見ていたが動く様子が無い。すると男の人の寝息の様な声が聞こえた。
私はそっと布団から顔だけを出してみると、倒れこんできた先に居たのは、高見沢君だった。
「大丈夫なの!?」
そう声をかけたが、うめき声しか聞こえない。
当たりをきょりょきょりょしたが、あの女の姿はなかった。
安心して、私は被っていた布団から出ると、必死で彼の体を揺さぶった。
「ねえ、生きてるよね。大丈夫なら大丈夫って言ってよ!」
「んぁ、うぇ、ほぇ」
なおも揺さぶり、高見沢君に話しかける。
「本当に大丈夫なの。死んじゃったりしないよね」
「うぁ、えぉ、だい、じょうぶだから、それ以上揺さぶるな」
「じゃあ起きてよ!」
「それは勘弁してくれ、少し休ませてくれ……」
そう言うと、高見沢君は私に抱き着き、膝枕状態で眠りについた。
「ちょ、何してんのよ。疲れたんだよね。きつと」
私は高見沢君の寝ぼけた顔を見ていると、それ以上怒る気にもなれず、気づくと頭をなでていた。
「お疲れさま、高見沢君」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます