第65話 スカウト成功!
ユニコーン馬車に乗って無事エデンにやってきたアンジェラ支部長とアリーゼさんから謂れの無いクレームを付けられたが、そもそも俺の存在自体が非常識なのだからその辺りは諦めて欲しいところだ。
「アンジェラ支部長、アリーゼさん。改めてようこそ。此処がエデンだ」
「此処はクレティア様の大神殿よ。今後の計画も含めて後でエデンを案内するわ」
「そうだな。先ずはクレティアに会ってくれ」
アンジェラ支部長とアリーゼさんを大神殿へと案内し、巨大クレティア像の元へ。
荘厳な神殿内部に二人とも言葉を失っていた。
「これを渡すのは二人が初めてになるわね。クレティア様の信徒の証しよ。祝福を受けた人に渡すようにクレティア様にお願いされているの」
「クレティアが造った証しは宝物庫にあるから、後で見てくれ。他にも展示しているんだが、展示物が少なくて寂しいから、気付いた事があれば教えて欲しい」
二人を大神殿見学ツアーで手厚くもてなし、宝物庫も見てもらった。
「カミーユさんの話では、クレティア様はそもそもエルトガドに干渉してこなかったのでしょ? 初めてクレティア様の痕跡は、カミーユさん自体だと思うのだけれど……」
「そうですよ。何処かの宗教みたいに捏造するなら別ですが……。お二人の存在とこれから起こす奇跡がクレティア様の証しでしょう。ユニコーンだけでも世界がひっくり返りますよ。しかも馬車を曳かせて……」
アリーゼさんは未だユニコーン馬車の件に怒っているようだ。
ユニコーン馬車はエデンらしくてナイスアイディアだと思うのだが……。
今更ユニコーン達に『やっぱり無し』とは言えない。
一度口にした言葉には責任を伴うのだ。
と言うか、神様の証し? 痕跡? を捏造している宗教団体があるんだな。
「ユニコーン隊を止めるつもりは無いぞ。エデンらしくて良いだろ? 狼くん達を護衛に付けなかった事を褒めて欲しいな。俺とサクラは常識の塊だからな」
「そうよ。ユニコーン達も張り切って練習しているんだから。普通の馬なんてエデンには住んでいないし……。何よりユニコーン達は美しいでしょ?」
美しいは正義だ。
それは間違いの無い事実。
ユニコーン達は美しいだけでは無くて強さも持っているが。
この数日間、熊どんや狼くん。鹿や蛇に蜘蛛等々の魔獣達と戦闘訓練をしていたようだが、角を使った攻撃や、脚を使った攻撃など多彩な攻撃力を見せてくれていた。
何よりも角から放たれる雷が強烈だった。
エルトガドの魔獣はどれだけ強い者でもラノベのように魔法は使えないと思っていたが、ユニコーンは魔法を放っていた。
探せば他にも魔法を使う魔獣も居るだろう。
この旅が終われば探しても良いかもしれない。
【マスター。熊どんも狼くんも魔法を使えますよ? サクラは知っているようですから知らないのはマスターだけのようですが……】
と、当然知っていたよ?
サクラとヘルピーを試しただけだよ?
「エデンまでそれなりに時間がかかっただろうから、取り敢えず休んでくれ。俺達の家に招待しよう」
「私が開発した疲労回復のお茶を用意するわ。問題無ければ総合ギルドで販売してもらおうと思っているのよ」
「それは楽しみですね。サクラさんが開発したとなると、効果も期待出来そうですし」
「カロリーバーは主婦層に大人気の商品なんですよ」
エルトガドの女性達がサクラ化されていくのは恐ろしい事だ。
「それで、今回のクレティアからの依頼なんだが、俺とサクラが旅するのは問題無いのだが、その間のエデンの管理や、教会や孤児院、学校の運営。バラ園の整備や新商品の開発と供給。兎に角問題は沢山あるんだ。総合ギルドにお願いするにしても限界があるだろ?」
国民が居ないから何も出来ない。
「そうですね。総合ギルドとしてお手伝い出来る事は沢山ありますが、エデンの国民と言えうか、住民が居ない事が一番の問題ですね。クレティア様の信徒が協力してくれる事はあるでしょうが……。教師や庭師等は雇う事は出来ますが……」
「腕の良い職人や技術者ほど王侯貴族が囲い込んでいますし……。そもそもエデンの商品はカミーユさんやサクラさんの特殊能力ありきですし、スパイダーシルクに至っては魔獣と意思疎通出来なければどうしようもありませんし……」
二人が頭を抱えて考え込んでいる。
人材確保が一番の問題だからしょうがないだろう。
「それはいったん置いておいて、アンジェラ支部長とアリーゼさんにはエデンの国民になって欲しいと思っている。どうかな?」
「アンジェラ支部長には新たにエデンギルドを創設してもらって、グランドマスターに。アリーゼさんには私達に同行して様々な交渉をして欲しいのよ。どうかしら?」
縁あって出会った二人だ。
人柄も能力も全く問題無い。
既にクレティアからの祝福も受けているしな。
まあ、家族の意見もあるだろうし、国籍変更にはクリアする問題もあるだろう。
総合ギルドもこの二人を手放したくは無いだろう。
「私は移籍する事に何の問題もありません。既に家族の同意は得ていますので。エデンギルドが何なのかは判りませんが、カミーユさんとサクラさんがエデン不在時は私が代行する事は可能と考えています」
アンジェラ支部長は問題無いらしい。
どうやらこうなる事を想定して動いていたらしい。
流石仕事が出来る女だ。
「私も問題ありませんよ。私は支部長と違って独身ですし、総合ギルドへ就職した時点で私も両親も二度と会えないと覚悟をしていましたので。両親が此処に住んでも良いなら逆に喜ぶでしょう」
アリーゼさんも問題無いようだ。
総合ギルドは俺が思っていたよりも大変な労働環境のようだ。
世界各地に支部があるし、交通網が整備されている訳でも無いので、国を出る事はそういう事なのだろう。
「二人ともありがとう。二人を歓迎するよ」
「これからは家族になるのですから、思っている事は遠慮無く何でも言えって頂戴」
「「はい。よろしくお願いします」」
手続きはこれからだが、そこは有能な二人だから問題無いだろう。
二人の家も造らないといけないな。
本当に少しずつだが、前に進んでいると実感出来た。
これからも出来る事からコツコツと一歩一歩進んでいこう。
【マスター。本日は祝宴ですね。属性が違う美女が三人ですよ! 本日はライブ配信を行います!】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます