第47話 思いつきを実現させよう

 学校を作りたいとは思っているが、先ずは目先の出来る事からコツコツと初めて行こう。

 今回持ってきているカロリーバーの数は多くないし、エリクサーもクレティアローズも販売できないのであれば、買い物と教会の改築だ。


 爆買いしてエデンは親しみやすくて気前が良くて、教会と仲良くすれば良い事があると思ってもらわなければならない。


「買い物をしながらエデンと教会を売り込んで行くとするか」

「そうね。当初の目的は新婚旅行とエデンに不足している物資の買い物だったわね。すっかり忘れるところだったわ」


「アンジェラ支部長。金貨を大量に持ち歩くのは物騒だからギルドに口座を作りたいのだが」

「では手配しますね。エデンとしての口座とカミーユ様とサクラ様の口座を作ります。対応している商店でしたらギルドカードだけで決済も出来ますので便利ですよ」


 エルトガドはキャッシュレス決済が使えるようだ。

 魔力登録装置を含めエルトガドではかなり先進的な技術があるようだ。

 通信手段や移動手段がもっと発展すれば良いと思うのだが、有能な科学者? 研究者をエデンで取り込めば俺の知識で更に発展できそうな気がする。

 総合ギルドから埋もれている人材を紹介してもらおう。


 ギルドカードを貰い、アンジェラ支部長のお見送りを受け五人で街へと繰り出した。先ずは身なりを整えたい。俺は良いがサクラの服を新調しないと。


 という訳で先ずは服を買いに行く事にした。

 新品の服は高価らしいが、支払いを気にする必要が無いので迷わず新品を購入。

 俺が十着サクラが三十着ほど。

 一応フォーマルな服装もあった方が良いと思ったがオーダーメイドだそうで、後からホテルで採寸してもらう事にした。

 古着屋さんにも立ち寄り、孤児達の服をお願いした。

 銀貨五枚で各人二着ずつは購入できるとの事だったが、金貨一枚渡しておいた。

 これは俺のポケットマネーからの支払いだ。


 ベッドとマットレスを購入するために寝具屋さんを紹介してもらおうと思ったら、家具屋さんの範疇らしい。

 ついでに家具も一式オーダーしておいた。

 エデンには上質な木材が豊富だと伝えたら、是非木材を見せて欲しいという事だったので、荷車がエデン産なので総合ギルドに見てもらいに行く事にした。

 後日職人さんに聞いたら、最高の木材だが、あまりにも堅くて加工が難しいとの事だったが、木材は仕入れたいと申し出があったので、総合ギルドを通して打ち合わせをする事にした。


 とにかく買いたい物は沢山あるので、とても一日で回る事が出来ずに五日間は買い物だけに費やした。

 オーダーした家具の引き渡し方法等問題もあるが、当初の予定の買い物は粗方済ませた。


「ここまで大量に買い物をしたのは私の人生でも初めてだったわ。最高の新婚旅行をありがとうカミーユ」

「サクラが満足したのなら俺としては全く問題無い。お金は公国持ちだが、買いすぎたかな?」

「ザクスさんとナタリーさんの顔色が悪くなって行ったから多分買い過ぎと思うけど、別に気にしなくて良いんじゃないかしら。向こうから提案されたんだから」

「世話になったから、綺麗な容器を作ってエリクサーでも渡そうかと思ったんだがどうだろうか?」

「カミーユがそうしたいなら私は別に構わないけど、どうせなら迎賓館一帯の土地を貰ったらどうかしら。エリクサーにはそれだけの価値があるわ」


 それが実現できたら最高だ。

 ノリで造った迎賓館を活用できるし、教会と孤児院と学校を今の教会の敷地に作るのは無理があるからな。

 エデン直営の教会と孤児院と学校を作れば良い。


「早速手紙を書いて国王にアポを取ろう」

「それなら私が文面を考えるから、カミーユが清書して送りましょう」


 サクラが下書きをした文面を読むと、何とも長ったらし婉曲な挨拶から始まる文章を簡単にまとめると、『楽しく爆買いが出来たからお礼にお食事でもどうですか? その時にエデンから伝説のエリクサーをあげても良いけど、相談に乗って欲しい事もある。二日後に迎賓館でそうですか?』という感じだ。


 国王と王妃相手に二日後に食事でもって言うのがそもそも非常識だが、エリクサーが貰えるなら喜んで来るはずと言うのがサクラの読みだ。


 アンジェラ支部長に相談して最高の料理とお酒の準備を進めつつ相手の返事を待つ。

 もし国王達が出席しなかった場合はお世話になった総合ギルドやザクスさんとナタリーさん、孤児達や商店の人を呼んでおもてなししようと言う事で進めている。


 手紙を渡した翌日に国王から返事が届いた。

 やはり長ったらしい婉曲な文章だったが要約すると、『急な申し出は大変無礼であるが、色々あったし出席してやる。エリクサーが本物なら相談に乗っても良い』という事らしい。


 喧嘩腰のスタンスは変わらないらしい。

 俺からの手紙が喧嘩を売っていると考えれば喧嘩を買ったと表現しても良いのだが。


「サクラ。国王と王妃が食事会に参加するそうだ」

「予想通りね。最終確認をしておきましょう。それと、警備体制強化のために熊どん達も呼んでおきましょう」

「ついでにエリクサーの原料も持ってきてもらっておこう。追加でエリクサーとカロリーバーも作れるだろう」


 晩餐会の準備のためにアンジェラ支部長、アリーゼさん、ザクスさん、ナタリーさんを連れて迎賓館に向かう。

 初めて迎賓館を見る面々は顎が外れんばかりに口を大きく開けて驚いていた。

 迎賓館の中に入ってザクスさんも含め全員が圧倒されていた。


「アンジェラ支部長。この場所であれば失礼にはならないだろ?」

「失礼どころか、エルトガド中を探してもこれ以上素晴らしい建物は無いでしょう」

「料理人や給仕の方達も早速来てもらって準備を進めよう。食器関係は迎賓館に相応しい物を俺が用意するから、必要な食器類等の数を教えてくれ」


 食器類やエリクサーの容器などを作っていたら熊どん達が走ってやってきた。

 相変わらず到着が早い。

 俺とサクラは当然だが、ザクスさんも熊どん達をモフって歓迎した。

 ザクスさんは熊どんに気に入られているようだし、ザクスさん自身も満更ではないようだ。


 アンジェラ支部長、アリーゼさん、ナタリーさんは恐怖のあまり震えている。

 特にナタリーさんは相手の強さが推し量れるだけに動けないでいる。


【マスター。あの恐怖の顔の先に新たな境地が開けるのです。想像するだけで捗ります】

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