第12話 魔道獣の所有者を狩る魔女
今回も読みに来てくれてありがとう。
前回の続きを話すね。
先生の教えてくれた人物は、とある慈善団体の主催者だったの。
表向きは慈善団体なんだけど、裏ではお金持ち相手に、訳ありの人間を使っていろいろな闇の商売をしているみたいね。
一番ひどいのは人間狩りかしら。
金持ちを集めて、逃げまとう人々を銃で撃たせるの。
この人間狩りで狩られる人間は様々な理由で売られたり、捨てられた人間なの。
この団体は裏でそういう人間をかき集めてから選別して、まだ使える人間は別の商売に利用して、ウイルスに感染していたとかの理由で身体を売ったりとか臓器を売ったりとかが出来なくて、使い物にならないと判断された人間を野に放って金持ちにハントさせていたの。
だから、家族が養えなくなった老人なんかもいるわね。
想像しただけでおぞましくて吐き気がするわ。
その団体の主催者が、強力な魔道獣を寄生させているみたいなの。
だから、今度は私が彼を狩ってあげようと思って、その団体に接触することにしたのよ。
今回も顔を見られると何かと面倒だから、平等村で拝借した仮面をつけていたわ。
そして、この男のいる団体の建物に潜入したの。
でも男は、何らかの方法で私を認識したのか、すぐに私の前に姿を表したの。
「魔道獣の所有者を狩っている魔女がいると聞いていたが、どうやらあなたのようですね。その仮面は・・・。そうか、あなたが彼の村を潰したんですか。彼は私の一番の友人だった・・・。そうとわかれば、生かしてはおかぬ。だが、楽には死なせんぞ小娘。覚悟しろ!!!」
こいつはあの村の村長とお友達だったみたいね。
そういうと、男の顔が歪んでおぞましいトカゲのような顔に変貌したわ。
そして、自分の腕を剣のような形に変化させて襲いかかってきたの。
身体を自在に変化させる魔道獣を寄生させていたようね。
それに、こいつは寄生が大分進んで、ほぼ魔物化しているみたいだったわ。
私は、距離をとりつつ、男の動きを観察しながら攻撃を回避していたわ。
そうしたら、男のもう一方の腕が、木のつるのように変化して私の方へ一気に伸びてきて、私はそのつるに捕まって締め上げられてしまったの。
「ぐぅっ!!!」
「ほうら捕まえたぞ小娘。クククっ。では、まずは魔女の顔を拝ませてもらおうか。その後でじっくりと苦痛を味合わせてやる。ただでは死なせんよ!!!」
そのまま私は仮面を剥がれてしまったの。
でもね。
「なっ、なんだ。顔が無い・・・だと!!!」
仮面を取ったら、その下の顔が無くてのっぺらぼうになっていたから、男は驚いたみたい。
「あははははははぁ!!」
「おっ、お前は一体・・・」
「うふふ、あんたみたいな悪人の方が、食べても私の心が痛まないからいいわ。だから、嫌いじゃないわよ」
「私が悪人だと?悪人なものか!!!私は、生きる意味も無いガラクタ共に、たくさんの価値を与えてやってるんだぞ。そこらの店じゃ使い物にならないような女も、私が・・・」
「ひとつ教えてあげるわ。ドン引きされるから、そういう話は女性にしない方がいいわよ」
まあ、今から私に喰われるエサにこんなこと話しても、意味が無いんだけどね。
私は、例の平等村の村長から奪った魔道獣で、こいつを洗脳して幻覚を見せていたの。
だから、私の勝ちは最初から決まっていたのよ。
「では、いただこうかしら」
私の魔道獣がこいつを食ったあと、彼の魔道獣が私に寄生した時、とてつもない快感が身体を巡って気絶しそうになったわ。
こいつは当たりだったようね。
多分、普通に戦っていたら、勝ち目は無かったかもしれないわ。
先生のいう通り、あの村長の魔道獣は掘り出し物だったわね。
今回もここまで読んでくれてありがとう。
また次のお話で会おうね。
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