太陽が消えた夏

アールグレイ

夏の終わり

「太陽は東から昇り、西に沈む」


 それは、私たちが当たり前のように受け入れている自然の摂理。まるで時計の針のように正確で規則的に繰り返される現象。この不変のサイクルこそが、私たちの世界を支える基盤であり、また明日が来るという安心感を与えてくれるものでした。


 しかし、今年の夏は違った。


 いつものように東の空を見つめても、太陽は現れない。夜明けが来ないまま、世界は薄暗い黄昏時に閉じ込められてしまったのです。あんなにうるさく鳴いていた蝉の声は次第に弱まり、夏の残滓を乗せた生ぬるい風が不穏な空気を運んできます。テレビのニュース番組は、この異常事態を連日報道し、人々の間に不安と混乱が広がっていきます。


「太陽が昇らない夏」それは、終末を告げる喇叭の音のように、私たちの心に重く響き渡りました。

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