【第二部】 第7話 拷問のような

【リビング】


優「ママ~」

田仲「何で優くんまで一緒なんですか?」

沙織「田仲への盾。襲われないように」

田仲「ヒドイ!」

沙織「今のお前じゃない。香緒里の狂態に錯乱したお前だ。襲ってきたら潰すよ…物理的に」



【寝室】


香緒里「ご夫婦の寝室で」

香緒里ちゃんがクスリと笑う。

香緒里「後輩の奥さんを押し倒して…私に何をなさるおつもりですか?」


香緒里ちゃん…痩せたな…もう六年以上経つのか…


嫁が転勤先の名古屋で歓迎会名目の暑気払いでさんざんに連れ回された結果流産を起こし、ショックで出社出来なくなった際に一番動いてくれたのは…達也と香緒里ちゃんだった。

課長「困るんですよね。流産か何か知らないが今ある仕事を放り投げられて休まれるのは。桂木くんにはすぐに出社して欲しいのですが」

「初めにご迷惑を謝罪します。ただ…急な病気に掛かれば周りがフォローすることになる。それを纏めるのが長たるあなたの責務ですよね。今回、沙織は「流産」という病気になった。ただそれだけではありませんか?」

課長「流産が病気なんですか?…これだから女のキャリアなんてのは…これ以上休むなら係長昇進どころか席が無いと桂木くんに伝えてください」

この電話の録音を本社に在籍していた達也は最大限に利用した。下半期の始まる10月には、当の課長こそが席を失って九州に飛ばされていた。

…そして、新婚で幸せいっぱいな筈の香緒里ちゃんが、毎日のように沙織の元に来てくれていたんだ。

あの頃、ベッドの沙織を訪ねて来てくれた寝室で…香緒里ちゃんは同じベッドで俺を見つめている。


「その余裕…気に入らないな。沙織に聞いたが、お前…俺の奴隷になるんだろ?」

香緒里「ええ、なりますよ。奴隷にしてくださいな」

「じゃあまずは…しつけだな」



【リビング】

「う…あ…あぁ…」


香緒里のくぐもった嬌声がリビングまで漂って…


田仲「か、香緒里…」

沙織「田仲…だまれ」

田仲「で…でも」

沙織「だまれ!優が寝ている」

田仲「速見…先輩…」


沙織「まだ…始まってもいないのよ…こんなのはね」

優「す~~す~~」



【寝室】


三月「へえ、着痩せしてるんだな、立派なもんだ…色も良い」

香緒里「あぁ~」


三月「田仲も頑張ってきたんだな…でも」

香緒里「ああっ!!」


三月「もう少しお仕置きが必要かな?まずはここからだな」



【リビング】

「あ!あ!あなた…助け…て、あ!あ~~~っ」


田仲「香緒里…今行く!!」

沙織「…行くの?」

田仲「…え?」

沙織「まだ…本当に序ノ口よ」


「ガ、ガ、ギャアア~、イグ、イグ!ナ、ナンデ!!イガゼデ~~」


始まった…みっちゃんの伝家の宝刀…寸止め。

あたしの身体が知っている…あれに墜ちてしまえば…香緒里も恐らくは…もう何も考えられない…

あと…少しで、みっちゃんの尋問が始まるはず…


「いかせて…いかせて…あ!あ!あ!いく…いく…いくっ!あ!……あ…あ…な…んで、い…いかせて…いかせてよぅ…」


田仲「…速見…先輩…」

沙織「…ん?どうした?もうすぐ…」

田仲「…先輩は、いつも食らっているんですか?…こんな…セ⚪クス…」

沙織「……」

田仲「……」


沙織「お前…本当に…空気が読めない奴だなあ!」



【寝室】


三月「さて…どうしようか…」

香緒里「あ!あ!あぅ~、逝かせて~!!」


逝かせてやっても良いんだけどな…

真面目な話を…終わらせないと…俺は刺激を弱めた。


香緒里「あ?…あ?」

「香緒里ちゃん、大学の屑彼氏が覚醒剤で捕まったとき…君はインドネシアにいたね」

香緒里「……あ…」

「そもそも、君は、東南アジアの歴史文学を専攻しようとしていた。何度も海外に行っていた」

香緒里「……」

「君は…彼の薬の運び屋…共犯者だったんじゃないのか?」



―お知らせ―

スピンオフ作品「内科病棟のジュリエット」

https://kakuyomu.jp/works/16818093079739518482

第二話を本日 16時前後に投稿予定です。何とぞよろしくお願い申し上げます。


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