交際
わたしは、相変わらずマイペース生活を送っている。
そして、カラダも満足そうなカラダをしている。
じゅうぶん冬を越せるくらい脂肪も備わっている。
冬眠万端!それに多少の衝撃があっても脂肪が跳ね返してくれる装備も万端‼︎
だから…だからね…、なんにも怖くない。
たぶん。
ただ…最近思うんだ。
わたしって…どこになんの目標持っていきているんだろうってね。
…
たまに優斗を見かける。
でも、もう他人。
そう思っていた。
だからこの前学校で、偶然優斗の隣を通り過ぎるとき、空気みたいに通り過ぎようって思ってたの。
そしたら、優斗ってば…
「モカ!久しぶり!」
って…明るくいってきたのよ?
はっ⁉︎って顔の優斗のお友達。
そうなるよね…。
明るくてモテモテの男子が、冬眠から覚めたクマみたいな太っちょ女子に気さくに話しかけているんだからさ…。
わたしは、とりあえずペコッてお辞儀をして逃げるように去ろうとした。
そしたら、優斗のお友達が
「今のだれ?」
って優斗に聞いていたの。
わたしも思わず聞き耳をたてていた。
すると…
「幼馴染だよ」
と、けろっとした返事をする優斗。
…
「へー」
と、含みをもったような言葉を発するお友達。
あんな人が幼馴染なんて可哀想って思ってるに違いない。
優斗…なんでわざわざこんなわたしなんかに声かけてきたんだろう。
無視してくれてよかったのにな。
変な人…
…
…
なんだか…なんだかとっても優斗と知り合いということが心苦しくなってきた。
さすがにお友達も、わたしに聞こえちゃまずいから言わなかったのだろうけど、やっぱり不釣り合いな関係だよね?
イケメンの幼馴染が実は冬眠上がりのクマみたいな女なんだからさ…。
…
…
もうさ、思いっきりヤバい女って笑ってくれた方が気が楽なんだけどな…。
家に帰りボーっと鏡をみて、ため息をついた。
そんなことがあった数週間後、優斗が学年で一番の美少女の
美男美女カップルだと皆、祝福モードだった。
そっか…。
お似合いだよね。
でも、その噂を聞いてからわたしは…なんだか胸騒ぎみたいな、なんか落ち着かない変な感じに陥った。
自分でもよくわからなかった。
だって、わたしは優斗なんか嫌いだし…優斗に彼女ができたからって…どうってことないはずだったから。
おかしいな…でも、なんだか…涙までポロポロ溢れ出た。
ヤダ…とまらない…。
なんだろう…ほんと、意味わかんない。
…
わたしってば…ほんと、なんなんだろう…。
キライなやつのことおもって涙するとか意味わかんないよね。
…
それから優斗と絵莉さんは、卒業までずっと交際していたみたいだった。
たまに一緒に帰ってるところを見かけた。
そもそもベストカップルって言われていたんだけど、なんか付き合った理由がヤバいとか噂が囁かれていた。
優斗は、誰かを庇って交際してるとかなんとか…
でもさ、それはただの噂だし…
そもそも好きじゃなかったら付き合ったりしないよね。
…
あとさ…わたし、みちゃったんだよね。
二人が手を繋いで下校してるところ。
噂は、やっぱりただの噂ってことだよね。
それにしてもさ、優斗ってば自分は美人な彼女がいるからってさ、わたしによく
「最近どう?」
なんて聞いてきてさ…失礼しちゃうよね。
どうってなによ?って感じでしょ。
だからいっつも無愛想に
「どうもこうもありませーん。平常運転ですけどー」
と、こたえていた。
わたしに彼氏ができるとでも?
それとも、痩せましたかぁ?って言いたいわけ?
そんな皮肉な考えしか浮かばないわたし。
…
毎日悶々の日々ですよ‼︎
大キライな幼馴染がイチャイチャしててさ‼︎
まぁ、もう見慣れたしもうすぐ卒業するからどうでもいいけどねー…
…
そして卒業式の日、わたしは偶然正門の前で優斗と絵莉さんの話を聞いてしまった。
「あなたってほんとつまらない男だったわ。もうお望み通り別れてやるわよ‼︎そうやってあの気持ち悪い幼馴染に一生取り憑かれていればいいのよ」
と言い放ち絵莉さんは、立ち去っていった。
…
気持ち悪い幼馴染って…わたしだよね?
なんだか気まずくてその場から立ち去ろうとしたら、うっかり下に落ちていたカンを蹴ってしまった。
「あっ…」
「おー…モカ。」
…
気まずい沈黙。
しばらく気まずい空気が続いたんだけど…いきなり絵莉さんが戻ってきた。
それも年上の男性先輩も一緒に…
「あれぇ?幼馴染ちゃんじゃん。プッ、まんまるしててかわいいねぇ。どこまでも転がっていけそうねぇ」
「おいおい、言い過ぎだろうょー。どこまでもってさぁ、ボールじゃないんだからさぁ。」
「あはは、ボールとかやばー」
と、わたしをいじる絵莉さんと先輩のお二人さん。
そんな人は、いわせておけばいいって思ってたら優斗がいきなり、
「そんなことない!モカは世界一かわいいんだからな‼︎」
なんて堂々と言ったのよ?
え?優斗…
…ヤバいよ。わたし…なんか色んな意味で泣きそう。
そんな優斗の言葉に絵莉さんは、
「バカみたい。ほんっと別れて正解。いこ、先輩」
と絵莉さんは、先輩とやらに腕を絡めて一緒に行ってしまった。
…よかったのかな?
元カノにそんなこと言ってしまって。
てか、先輩と腕組んで行っちゃったけど…優斗追いかけないのかな?
ほんとに別れちゃったのかな?
…
「あの…なんか…わたし…わたしのせいでごめんなさい!」
と深々優斗に謝った。
すると優斗は、優しく微笑んで
「謝るのは、オレの方だ」
と言った。
?
どういうこと?
優斗…
…
続く。
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