夜の森の中で

田沢家一家心中事件の真相は、田沢夫妻が一家心中に見せかけて児童を惨殺したというものだった。猟奇殺人が露呈しないように、一家全員が死んだことにして自分たちは近くのペンションに隠れ住んでいた。そして、そこに泊まりに来る登山客を、自らの興味を満たすために次々と殺していた。


友人が目の前の殺人鬼によって惨殺されたことを悟って声が出ない二人。

それをよそに、一家心中したはずの2人は薄ら笑いを浮かべて話し出す。



田沢妻 「だって、、うふふ、あたしたちのペンションに自分から入ってきてくれるなんて、、、。一人ずつ燃やしてあげたわ。あなたたちはいなかったけど」

京太 「、、、、、、、、俺と綾香があの家見に行ってる間に、、、、」

綾香 「智、、、、、、咲、、、、、、」


二人は、運悪くペンションに泊まりに来た京太達4人に目を付けていた。京太と綾香がペンションを出ている間に、中にいた智と咲を襲い、縛り付けて裏庭に連れていき、そのまま焼き殺した。ペンションに戻り、そこにあった咲と智の服を着て、二人になりすまして京太と綾香の帰りを待ち、「あの家」に面白半分で行こうとする綾香と京太を見て、楽しんでいたのだ。


京太ははっとした。

では、咲と智の遺体は今どこにあるのか。

震える足で踏ん張って、なんとか声を出す。


京太 「お、、、おい、、燃やした後あいつらをどこへやった!?」

田沢妻 「崖の下に捨てたわよ。焼死体なんてあったら、臭いで近隣にすぐばれちゃうでしょ?」


最悪の事態が起こった。智と咲は今頃崖下で無残な姿に、、、

想像して吐き気を催す綾香。

女がじりじりと詰め寄ってくる。


田沢妻 「あの子たちのお友達よね?あなたたち。」

田沢妻 「さっきは一人ずつだったからあんまり迫力なかったけど。この人たちは同時に燃やそうよ」


急に狂ったように笑いだす夫妻


田沢妻 「いいねえ!!あはははははは!燃やそう燃やそう!おもしろそう!!」


やっと足が動く京太

京太 「おい綾香、逃げるぞ」

まだ動けない綾香の手を強引に引っ張って走り出す。

綾香もつられて走り出す。



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