第6話『聖剣士リアナ-愛と未来-』YouTubeチャンネル-2

夜が明け始めた。

リアナの映像をずっと視聴していたい気持ちを押し切り

「寝るか…」

そう思った瞬間、信じられないことが起きた。


リアナが画面越しに俺の方を見つめたのだった。


「ーーーーッ!!!」


俺は息をんだ。


彼女の青い瞳がまるでこちらを見透かすかのようだった。


そして、俺に向かって語りかけてきた。

「長い時間、私のこと見てくれて、ありがとうございます」

「え?」

俺は言葉を詰まらせた。


「あなたが見ているのは、過去の私の姿かもしれないです。でも、私は今も闇帝国の地下牢ちかろうで生きています」

リアナの声がひびいた。


可愛かわいらしい声だが、剣士として気高さと決意にあふれた話し方だった。


俺はおどろき、思わず画面に顔を近づけた。

「リアナ、君は…」

リアナのひとみは真剣そのものだった。


これはYouTube動画のはず。

しかし、リアナのひとみが俺を見つめた瞬間しゅんかん

画面の中にいるはずの彼女がまるで現実の存在で

あるかのような錯覚さっかくに陥った。



いや、実際にリアナはここにいる!



その時、リアナは急に声を詰まらせ

「私のこと、助けて欲しいです…」

か弱い声で訴えてきた。


胸に熱いものが込み上げてくる。

「もちろんだ。必ず助け出す」

俺は反射的はんしゃてきに力強く答えた。


「ありがとうございます」


リアナのひとみに、かすかな希望の光がともったように見えた。

安堵あんどしたようだった。


「取り乱してしまって、ごめんなさい」

「いや、いいんだよ。つらかったんでしょ?」

「はい...」


リアナの青いひとみは深い海のように澄んでいて

その奥には揺るぎない決意が宿っていた。


一方で表情に悲しみと恐怖きょうふかくしきれないでいる様子だった。


「あなたは私のことをずっと見ていてくれました」


「ああ、ごめん。その…綺麗きれいな女性だな…と思って」

あわてた俺はあからめ、視線をそらしながら小さな声でつぶやいた。


しかし、リアナはにっこりと笑って


「それを聞いてうれしく思います」



リアナの声が優斗の耳に柔らかく響いた。

その声には不思議な温かみがあり

彼女の存在を身近に感じさせた。


「ああ、君のことは、本当に綺麗きれいだと思った」

「ありがとうございます」


次の瞬間、リアナの手が画面に触れた。


画面越しにも関わらず、俺は彼女の手が自分のに触れる感覚を覚えた。


リアナの手のひらは柔らかく、ほんのりと暖かい。

その触感しょっかんは現実のものであるかのようにリアルだった。


「お名前を聞かせてください」

リアナが微笑ほほえみながらたずねる。


俺はその微笑ほほえみに心がいやされるのを感じた。



優斗ゆうと北条優斗ほうじょうゆうとだ」

俺は答えた。



リアナの手が画面を滑り

まるで俺のでるような仕草しぐさを見せた。


彼女の指先が俺の顔をやさしくなぞるように動くたびに

その温もりを感じることができた。



「優斗様、感謝します。あなたがいてくれて、本当に嬉しいです」



リアナの声が一層優しくなり、彼女のひとみには涙が浮かんでいた。


彼女の指が俺のくちびるれるかのように画面を撫で、その感触に胸が熱くなるのを感じた。

「リアナ、君を必ず助ける」

俺は真剣な表情で言った。

リアナのひとみに映る希望の光が一層強くなった。


「その言葉を聞いて、勇気が出ます」


リアナは微笑ほほえむ。

声はささやきのように優しく、彼女の手が再び画面に触れた。

その指先はまるで優斗のかみを撫でるように動き、彼の頭を優しく包み込む感覚が伝わってきた。優斗はその感触に目を閉じ、リアナの存在を全身で感じた。


「優斗様はどんな困難も乗り越えられる方。ひと目見ただけでわかります」

リアナの言葉が優斗の心に深く響いた。

その言葉に力をもらい、優斗は決意を新たにした。


「リアナ、君もとても強い女性だよね」

俺はリアナにそっと語りかける。

その瞬間、リアナは首を横に振った。

そして目にたくさんの涙を浮かべる。


「怖かった...」

リアナはめていた辛い思いを吐き出した。



「リアナ…」

俺は言葉を失い、画面に映る彼女を見つめるしかなかった。


リアナは涙を拭いながら続けた。


「ずっと、強くなければいけないと思っていました。でも、怖くて…寂しくて…」

リアナの声が途切れる。


彼女の姿がか弱く見えた。

普段の凛々りりしい姿とは全く違い、今はただの少女だった。



俺はその姿に心が締め付けられるような思いだった。

「リアナ、君は強いよ。でも、辛いときは泣いてもいいんだ」

俺は静かに言った。



リアナは目を開け、涙にれたひとみで俺を見つめた。

「ありがとう、優斗様。本当に救われました」



「リアナ、君を助けるために何でもするよ。だからもう泣かないで」

俺はリアナに向かって優しく微笑ほほえんだ。


リアナはうなずき、涙をぬぐいながら微笑ほほえみ返した。

その微笑ほほえみには、少しだけど力が戻っていた。

「優斗様は私にとって希望です。ありがとうございます、優斗様」


リアナの声には再び希望の光が宿っていた。

「必ず君を助けるから、待っててくれ。約束する」

俺はリアナに向かって力強く言った。



リアナは深く頷いた。

「はい、待っています。必ず、待っています」



画面が暗転し、リアナの姿が消えた。

しかし、彼女の温もりと信頼は俺の心に深く刻まれた。


「リアナ、必ず助けに行く」


俺は静かに誓いを立てた。


夜明けの光が部屋に差し込み

俺は新たな決意と共に立ち上がった


リアナを救うための戦いが、今始まったのだった。


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