第2話
この体が憎い。
どうやっても体の主導権を取り返すことはできない。
ひどく腹立たしい。
勇者パーティを滅ぼしたのち、一人で帰ってきた理由を辛勝と勘違いし、優しくお世話をしてくれた王でさえ、殺めてしまった。
魔王も死にかけだったのか、少しずつ体の自由が戻ってきた。
完全に戻った時、世界に俺の居場所はなかった。
魔王はずる賢く、中途半端な数しか殺さなかった。
助けたはずの人間に石を投げられ、罵られる。
ひどく、悲しかった。
自分があの時、油断さえしなければ今頃僧侶と幸せな生活を送っていたのだろう。
絞首台に連れられながら思う。
どんな理由も、事情も怒り狂った国民の前では無力だった。
自分を兄のように慕ってくれていた王子が、民衆に宣言する。
「勇者と信じられながらもその身を魔に落とし、わが父を葬り去ったこの魔物を今日をもって処する!!」
雄たけびを上げる民衆。
口々に早く殺せと、生かしておくなと叫ぶ。
この際、弁明はしない。
やったことは事実だ。弱かったのがいけない。
つられる瞬間、王子の声が聞こえた。
「これで償った気になるなよ」
どうやったら、償えるのだろうか。
そう思いながら、意識は闇の中へ沈んでいった。
まばゆい光が俺を照らす。
目を開けると、そこは知らない天井だった。
なぜ、生きている?疑問に思いながら起き上がろうとし、転ぶ。
体の違和感に気付き目をやるとそこには幼児だろうか?成熟していないからだがうつる。
伝承として旅をする中で聞いたことがある。
曰く、魂は輪廻するということを。
自分は転生したのだ。
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