永ノルル
近藤 あげぽよ
プロローグ
思わず声が出てしまう程のものを発見を俺はした。それと同時に深い絶望を味わった。運命の悪戯なのだろうか、突如として役目を押し付けられた感覚だ。しかし、それはもう俺にしか果たせない役目らしい。
独り、俺はひび割れた無機質なコンクリの壁が永遠と続く研究施設から逃げている。目の前に転がる奴等の死骸の目が、俺の心を抉る様な眼差しでこちらを見てくる。一刻も早くここから逃げなければならない。逃げて俺の役目を果たさねばならない。
逃げろ。にげろにげろにげろ、逃げるんだ俺。もっと遠くへ、アイツが来る前に。後方から鳴り響く銃声と爆破音。ヤツはすぐ後ろ、百メートル?いや五十メートル程の距離で私を追っている。こんなことを考えてる場合ではない!逃げなければ!
俺の体力はそろそろ限界を迎えそうだ。息が上がっている。俺はここで殺されるのか?ここで、こんなところで俺は死ねない。出口を、出口を探せ!
ついに行き止まりに追い詰められてしまった。もう逃げ場はない。形勢逆転することに賭け、一人闘うことにしよう。深呼吸をし、息を整え、振り返り、ヤツの眼を俺は睨む。そして今更ながらに気づく。ずっと追いかけてきたヤツの図体はとにかくデカいということ、仲間と共に沢山の化け物を見て、仲間と共に闘ってきたはずだが、ソイツは明らかに今までと違う見た目と雰囲気を醸し出していたということ。拳銃、刀、手榴弾、どれも本で見た事ある武器だ。見たこともない武器もある。ヤツの身体はそれらの武器を纏い、生物を模した様な形を保っている。そしてヤツの眼は俺という獲物を捉え続けていた。力不足な俺が真っ向勝負で勝てる相手ではないが、絶対に死ねない。
プレッシャーと、自分の役目が混ざりあって俺の感情を歪ませる。体力よ、思考よ、意思よ、まだ強く持っていてくれ。そしてここから助かる方法を導き出してくれ。ここで死ぬ訳にはいかないんだ。役目を果たさねばならないのだから。
俺の役目は――――
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