第二回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部

島風ひゅーが

地球は無音


きみとぼく宇宙誕生したときに別れた粒子また出逢ったね




あきらめた恋を数えて夜桜がはらりと落ちて地球は無音




ゆっくりと不穏になってゆくようなエリックサティ聴きながら     春




行間に春のこぼるる恋文をしたため少年走りだしおり




干からびた河童の皿に降る慈雨のようにあなたのチョコは優しい             




ぴちぴちの枕詞はきみにこそ似合うよレモンスカッシュの笑み




透明な記憶で作った繭玉で私は眠る彼岸過ぎまで




永遠の少女マチちゃん革命は十年越しにぼくを貫く




空は青 信号も青 海も青 青い車で 青いぼくらは



 

嫌われた理由はたぶんあのこととおもいはめぐる夏の海かな




神さまが砂糖と塩を間違えて創った星に住む人甘し




蝉時雨鳴かない蝉もいるだろう鳴かない蝉はたぶん哲学




その風は夏の最後のひと吹にで暗がりにいたきみも消え去る




芸術の秋に私は目を覚ましキャンバスに描く君色絵の具




甘ったれ。ぬるい悲しみ吸い過ぎてぼくはこんなに弱っちいのさ




月眺め歌詠む紳士横顔は缶コーヒーのボスにも似たり





寂しげに猫がにゃーにゃー冬木立背中撫でればああ雪の華





淡雪が冗談みたいにすぐ消えてしたり顔した空が舌出す




いつの日かボケたとしても残るのはあの日の記憶だったらいいね




いつの日か宇宙は縮む覆水が盆に帰ってひとつの点に




 




 




 



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