第23話「歴史嫌いの浜野くん」(2024/7/8)
社会科教師の大石先生は頭が痛くなった。風邪や二日酔いではなくて、目の前にいる中学生、浜野くんの扱いに頭を悩ませているのだ。
浜野くんは、基本的に成績がいい。この間のテストでも、数学、理科は100点、英語が96点、国語が84点だった。ところが――。
「社会だけ、28点……」
社会(今回は歴史)の成績だけ極端に悪いのだ。なまじ他の教科の成績が良いだけに、同僚からは『大石先生は教え方に問題があるのではないか』とでも言いたげな視線を向けられた。
しかし、ここまで極端なのは浜野くんだけだ。学年ごとの社会の平均点を算出しても、他の4教科と大差ないのだ。
「どこが分からなかったかな?」
「全てです」
初手からお手上げだ。得意不得意があるのは仕方ないが、社会が足を引っ張って志望校の難易度が下がるのは勿体ないと思っての面談だったのだが……。
「有名な人が何を思って何をしたかが分かるようになると、歴史も面白くなるから……ね?」
ここは教師としては引き下がれないところ。だが。
「僕は愛する一人の歴史だけ知れば、それでいいです。だから、大石先生のことを教えてください」
そのとき、大石先生の歴史が動いた。
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