第18話「step by step」(2024/7/3)

 私は、何度も過去を捨ててきた。

 中学、高校と勉強を頑張って、試験の成績で学年一位をとった過去。

 お囃子の小鼓を習った経験。

 ファッションの流行に敏感だった感性。

 趣味は料理だったことも、編み物だったことも、カラオケだったこともあった。

 全部、中途半端に辞めてしまったり、諦めてしまったものだった。

 過去を捨てるたびに、私は生まれ変わったつもりで、新しいものにチャレンジした。

 よく言えばチャレンジングだけど、悪く言えば飽き性。何度も過去を捨てた私に残ったものなんて、何もない。


 そんな私が今やっているのが、物書き。小説投稿サイトでコンテストが催されるたびに、オリジナルの物語を投稿している。PV数の伸びは良くないけれど、読んでくれる人がいるという事実をモチベーションにして頑張っている。

 先日、とあるコンテストで佳作をもらった。

 それから、過去の作品も含めてPV数が大幅に伸びた。


 投稿した作品は、私の過去をふんだんに盛り込んで、架空の物語にしたヒューマンドラマ。

 捨てたはずの過去に、私は助けられたのだ。

 過去は無くならない。だって、私が迷いながらも一歩ずつ信じて進んだ軌跡なのだから。

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