永遠の家族
たたり
前編
真夏のある日、大学生の田中亮介は、自宅の片づけをしている最中に古びたアルバムを見つけた。
埃を払い、ページをめくると、幼少期の家族写真が次々と現れる。
しかし、その中に一枚だけ、見覚えのない写真が混じっていた。それは、古い木造の家の前に立つ小さな男の子の写真だった。
男の子は、不自然なほど明るい笑顔を浮かべていた。
「これ、誰だろう?」
亮介は首をかしげた。
その写真には、家族の誰とも思えない男の子が写っていた。
彼は写真を手に取り、両親に尋ねたが、二人ともその写真について覚えがないと言う。
母親は「そんな写真見たことないわねぇ」と言い、父親も「お前が持ってきたんじゃないのか?」と首をかしげるばかりだった。
気になった亮介は、さらに詳しく調べることにした。
彼は写真の裏を見てみた。
そこには、かすれた文字で
「1985年、夏」
と書かれていた。
1985年は亮介が生まれる前の年だ。
誰がこの写真を撮ったのか、なぜ家族のアルバムに混じっていたのか、その謎は深まるばかりだった。
「もしかしたら、昔の家に手がかりがあるかもしれない」
亮介はそう思い立ち、昔住んでいた田舎の家に行ってみることにした。
その家は、町外れの山間にひっそりと佇んでいた。
車を降りてしばらく歩くと、古びた家が見えてきた。
家の周囲は草が生い茂り、まるで時間が止まったかのように静まり返っていた。
亮介は家の玄関に立ち、しばらくの間、遠い昔の記憶を辿るように眺めていた。
「懐かしいな…」
亮介は小さな声で呟いた。
彼は鍵を使って扉を開け、中に入った。
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