彼は倫理と死んだので、

隣乃となり

或る死刑囚からの手紙

親愛なるツツジ先輩へ。


貴女を想い続けていたら、死なない身体になってしまいました。

元から不死身だったとかぬかす馬鹿な輩がいますが、これは二百パーセント貴女のせいです。

俺をこんな身体にしたんだから、責任はしっかり取ってもらいますよ。

そして俺が今死刑囚になっているのも、貴女のせいです。俺は貴女を守るために結構な数の人命を奪って、挙げ句死刑判決を言い渡されちゃいました。ああ、なんということだろう。

え?私のせいじゃないって?まあそうですね。三割くらいは俺のせいです。でも残りの七割は絶対に先輩のせいですよ。もういいですけど。

死刑執行されたところで俺は死なないので、なんで死刑判決なんかしたんだと思いますが、まあそういうもんなんでしょうね。

でも、死なないとはいえ痛みはあるんですよ。だから絞首刑だって、死にはしないけど首の骨が折れたらそのままだし、文字通り死ぬほど痛い。多分死ぬほうがマシですよ。

はあ、やだな。

それに、ここはひでえ場所だ。正直もっと快適な所だと思ってましたよ、刑務所って。俺は独房だからマシかもしれない。雑居房の奴らなんて可哀想で見てらんないですよ。具体的には言いませんけど。

あそこはこの世の最底辺だ。先輩は一生行かないでくださいね。女子刑務所でもこの世の終わりみたいなとこは変わらないと思いますよ。


ああ、先輩にあいたいな。


まっずい飯を食わされても、看守にひどい扱い受けても、ツツジ先輩のこと考えてたらなんか大丈夫になるんですよね。


先輩の笑顔が見たいなあ。記憶の中だけじゃもう物足りない。早く会いに来てくださいよ。


面会、待ってます。




可愛い後輩のキクチノ君より

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