【完結】世界探偵物語
湊 マチ
第1話 「消えたペンダントの謎 - パリ編」
私たちの探偵事務所「三田村探偵事務所」は、世界中の依頼を受けて事件を解決することをモットーにしています。今回の依頼は、フランスのパリから届きました。依頼人は、名門貴族の令嬢であるエレーヌ・ド・ボーモン。彼女の祖母から譲り受けた大切なペンダントが消えてしまったというのです。
---
パリに到着した私、三田村香織とパートナーの藤田涼介は、エレーヌの屋敷を訪れました。美しい庭園と豪華な建物に囲まれた屋敷は、まさに貴族の風格を感じさせました。
エレーヌは私たちを迎え入れ、消えたペンダントについて説明しました。「このペンダントは、祖母から譲り受けた家宝です。昨夜、部屋の机の上に置いておいたのですが、今朝起きたらどこにも見当たらなくて…。」
「それは大変ですね。まずはお部屋を拝見させていただきます。」私はエレーヌにそう告げ、彼女の部屋へ向かいました。
---
エレーヌの部屋に入ると、豪華な家具と美しい装飾が目を引きました。机の上にはペンダントが置かれていたという跡がありましたが、確かにペンダント自体は見当たりませんでした。
「昨夜、この部屋には誰か他の人が入ったのでしょうか?」涼介が尋ねました。
「いいえ、私は一人で寝ていました。家族も皆それぞれの部屋で寝ていたはずです。」エレーヌは困惑した表情を浮かべました。
「それでは、家族の皆さんにもお話を伺いたいと思います。」私は提案しました。
---
まず、エレーヌの両親に話を聞くことにしました。彼らはペンダントの消失について全く知らないと言いました。次に、エレーヌの弟の部屋を訪れました。彼は少し緊張した様子で私たちに対応しました。
「昨夜、何か変わったことはありませんでしたか?」涼介が尋ねました。
弟はしばらく考えた後、「実は…夜中にトイレに行こうとした時、エレーヌの部屋から物音がしたような気がします。でも、すぐに静かになったので気のせいかと思ってました。」と答えました。
「その時間は何時頃ですか?」私はさらに質問を重ねました。
「たぶん、午前2時頃だったと思います。」弟は少し不安げに答えました。
---
家の中で誰かがペンダントを持ち去った可能性が高いと判断し、さらに調査を進めることにしました。
翌日、再びエレーヌの部屋を訪れ、隠された手がかりを探し始めました。机の引き出しやクローゼット、ベッドの下まで念入りに調べましたが、ペンダントは見つかりませんでした。
その時、私はふと、部屋の隅にある古い写真立てに目を留めました。「これは…?」
写真立ての裏側を調べると、小さな鍵が隠されていました。その鍵を使って、エレーヌの机の引き出しの奥にある秘密の小箱を開けました。そこには、家族の重要な書類と共に、消えたペンダントが入っていました。
「見つけたわ。」私は微笑みながらエレーヌにペンダントを手渡しました。
「でも、どうしてこんなところに…?」エレーヌは驚いた表情を浮かべました。
「これには何か秘密があるようね。」涼介がペンダントを詳しく調べ始めました。すると、ペンダントの中に小さな鍵穴を発見しました。
「これは…?」私は小さな鍵を取り出し、ペンダントの鍵穴に差し込みました。ペンダントがカチッと音を立てて開くと、中には小さなメモが入っていました。
「これは、お祖母様の手書きメモだわ。」エレーヌが声を上げました。メモには、家族に関する重要な秘密が記されていました。
---
エレーヌの母親にメモを見せると、彼女は顔を青ざめました。「これは…私も知らなかったわ。お母さんがこんなことを隠していたなんて…。」
メモには、家族の歴史にまつわる隠された真実が記されており、それがペンダントに込められた意味だった。エレーヌの祖母は、その秘密を守るためにペンダントを大切にしていたのです。
「このメモのおかげで、祖母がどれだけ家族を愛していたかがわかります。」エレーヌは涙ながらに言いました。
メモには次のように書かれていました:
---
**愛する家族へ**
このペンダントには、私たちの家族の歴史が込められています。私の祖母が若い頃に体験したこと、それが私たちの家族の絆を強くしています。このペンダントの中には、私たちの家族が代々受け継いできた愛と希望が詰まっています。
もしこのペンダントが見つかった時、どうか家族全員でこの手紙を読み、私たちの歴史を大切にしてください。このペンダントがあなたたちにとって守りの象徴となり、困難な時には希望の光となることを願っています。
あなたたちの幸せと健康をいつも祈っています。
祖母より
---
この一件は、家族の絆を再確認するきっかけとなりました。ペンダントは再びエレーヌの手に戻り、彼女は祖母の思い出を大切にすることができるようになりました。私たちは次の依頼に向けて準備を整え、世界中の事件を解決するために旅を続けます。
---
その日の夕方、私たちはエレーヌに感謝の意を示され、彼女が推薦するレストランで食事をすることになりました。パリの美しい街並みを見渡せるテラス席で、涼介と私はフレンチの美食を堪能しました。
「やっぱりフランス料理は格別だね。」涼介がフォアグラのテリーヌを楽しみながら言いました。
「ええ、特にこのエスカルゴは絶品ね。」私は微笑みながら答えました。
---
食事の後、私たちはシャンゼリゼ通りを散策し、パリの夜景を楽しみました。エッフェル塔がライトアップされ、ロマンチックな雰囲気が漂う中で、次の冒険に思いを馳せました。
---
「世界探偵物語」の第1話「消えたペンダントの謎 - パリ編」はここまでです。次回もお楽しみに!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます