第26話 腐臭の滴

玲奈が呪いに操られて藤本を襲った事件の後、一輝、藤本、葵、そして玲奈の四人は再び洋館の奥深くへと進んでいった。彼らはこの洋館の呪いを解くため、さらなる謎と恐怖に立ち向かう決意を固めた。


古びた廊下を進む一輝たちは、異様な臭いに気づき始めた。それはまるで腐った肉と酸性の化学薬品が混ざり合ったような、激しい臭いだった。


「この臭い…何かがおかしい。」一輝は鼻を押さえながら言った。


藤本は懐中電灯で周囲を照らしながら慎重に進んでいた。「この先に何かがあるはずだ。気をつけよう。」


突然、ポタッ、ポタッという音が天井から聞こえてきた。彼らが頭上を見上げると、黄色がかった胃液のような液体が天井から滴り落ちてくるのを目にした。


「これは…何だ?」葵は驚愕の表情で言った。


その液体は強烈な腐臭を放ち、地面に落ちると煙を上げながら床を溶かしていった。ジューッという音とともに、液体は床に穴を開け始めた。


「これは危険だ。早くここを抜けなければ。」一輝は叫び、仲間たちを急がせた。


四人は急いで廊下を進んだが、胃液のような液体は次第に量を増し、天井全体から滴り落ちてきた。ポタポタと液体が落ちる音が次第に大きくなり、彼らの周囲を取り囲んでいた。


「このままでは避けられない…」藤本は冷静に言った。「何とかして、この液体の元を断たなければならない。」


一輝は液体が滴り落ちてくる天井の一角に異常な模様を見つけた。「あそこだ!あの模様が何か関係しているはずだ。」


四人は天井の模様に近づき、その異様な形状を詳しく調べ始めた。模様は古代の呪文が刻まれており、その中心には奇妙な石が埋め込まれていた。


「この石を取り除けば、液体の流出を止めることができるかもしれない。」藤本は推測した。


一輝は慎重に石に手を伸ばし、力を込めて引き抜いた。グググと石が動き、突然液体の滴りが止まった。天井からの激しい腐臭も徐々に和らいでいった。


「やったか…」葵は安堵の息をついた。


しかし、その瞬間、壁に隠された扉が突然開き、暗闇の中から新たな影が現れた。影は強力な霊の姿をしており、その目は怒りに満ちて赤く輝いていた。


「まだ終わっていない…」影の中から低く冷たい囁き声が聞こえた。


「この影を倒さなければ、先に進むことはできない…」一輝は決意を固め、新たな恐怖に立ち向かう準備を始めた。


玲奈、藤本、葵も力を合わせ、再び影に立ち向かい、洋館のさらなる謎と恐怖に挑むのだった。

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