あんかけからの妄想

少し前のことだが。

嫁がテレビで得た情報を嬉々として話してきた。

マツコデラックスの番組で見たらしいのだが、世の中には「あんかけ」を食べ進めていくうちに、自身の唾液の酵素であんかけのとろみを分解してあんかけがサラサラの液体になってしまう人がいるらしい。


「熱々のとろとろで最後まで食べられないんだって。そんな人いるんだねー」


と驚いていたのだが、私の返答にさらに彼女は驚く事になる。


「え、あんかけって最後は液体になるんじゃないの??」


そうなのだ。

私はそのあんかけを無効にする「凍てつく波動」のような唾液の持ち主だったのである。


普段から私があんかけ焼きそばや、中華丼を食べたあと、あんかけは最後には完全に液体になるもので。


てっきり経時変化や、温度の変化で「あんかけ力」が弱まるものだと思っていたのだが。

本来それは最後まで失われないもので、そんな状態になるのはどうやら少数派だったらしい。


私は自分の口でしか物を食べたことがないので、当たり前だがこれが普通だと思っていたし

そもそもなんの疑問も持っていなかったのである。


その後ふたりでリンガーハットに行き、皿うどんを食べて検証してみたら、おお。本当だ。最後まで嫁の皿うどんはとろとろなのである。

一方私の皿には「スープ」が残っている。


自分では常識と思っていたことで何の疑問をまたなかったものが、実は例外的で少数派であった事にとても驚いたものだ。


これを受けてふとおもう。


このような事例は他にも実はたくさんあるのではないか?と。


特に言及するほどのことでもない些細な事で、且つ気にもしていないのでその特殊性に気づいていないような人がいるのではないか?


たとえば

「まばたき」をするたびに脳内に「パシャっ」て音がする人だったり。


起床してしばらくの間だけ、嗅覚が異常に過敏になっている人だったり。


空腹を感じると爪が伸びる人だったり


本人は生まれた頃から「当たり前」な事なので疑問をもったことがないけれど。


側から見ると驚くような違いなのだが

他者と比較しようにも比較ができないような特製を持つ人。


世の中には実はそんな人がたくさんいるのではないか?

しかもそれを紐解くと実は人類の起源に新たな説が生まれるのではないか?


なんて妄想を逞しくしたりする。
















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