第44話 Sympathy(4)
「ねえ、みてみて。 ダンゴ虫だよ。 ほら、さわるとまるまっちゃうんだ、」
「ほんとだ~~。 すごーい!」
とある日曜日。
暖人は志藤の家に遊びにやって来た。
樺沢が日曜も仕事だと聞いたゆうこは年中無休の彼の実家まで行って預かって来た。
ひなたは2つ年上の暖人が
鉄棒や
ブランコの立ち乗りや
虫取りなど
なんでもできるので
もう羨望のまなざしだった。
「ひなたちゃん、こっちほってトンネルにしよう、」
「みずもながしたーい。」
砂場で二人仲良く遊んでいた。
ゆうこはベンチにななみを抱っこして座っていたが
ひなたの泣き声がして慌てて立ちあがった。
慌てて走り出して転んだらしかった。
もう地面につっぷして
この世の終わりのように大泣きするひなたにゆうこが駆け寄ろうとすると
「・・だいじょうぶだよ。 たってみな、」
暖人は優しくひなたに手を差し伸べた。
「いだぐでだでない~~、」
尚も泣き続けるひなたに
「ほら、よっこいしょ。」
暖人はひなたを抱っこするように立たせて
ひざの砂を払ってやった。
「ちがでてないからだいじょうぶだよ。 ねえ、あっちにバッタがいたよ。 みてこよう。」
ゆうこが宥める間もなく
ひなたは泣きやんだ。
しかし、ひなたがゆうこの存在に気付くと、
「も~~~! ママがきてくれないから~~。 ひなたころんじゃったのに~~!!」
泣きだしてゆうこにすがりついた。
「もう、なんでもなかったじゃない。 暖人くんに起こしてもらったし、」
「いたかったんだよう~~!」
そんなひなたの姿を
暖人はぽつんと離れたところで見ていた。
それに気付いたゆうこは
「暖人くん、こっちにいらっしゃい。 さっき買ったお菓子いっしょに食べましょう。」
と手招きをした。
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