6人用声劇台本【魔王にも事情があるわけで】

笛吹魔音

6人用声劇台本【魔王にも事情があるわけで】

性別に関しては全員不問の台本です。

好きに配役をお選びください。


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【魔王にも事情があるわけで】

作者:笛吹魔音(うすいまお)&ぴこたんしあ


ファンタジー系コメディです。



登場人物


勇者:真面目。一応勇者専用魔法や剣技は使える…が、何故か暗黒系も操れる。


戦士:ものすごい力を持っており、剣の一振で敵100体を一度に屠る。


魔法使い:何故か攻撃魔法が使えない。その代わり治癒魔法が使える。


僧侶:魔法使いと逆に治癒魔法が使えない。破壊魔法を得意とする。


魔王:攻撃技も攻撃魔法も使えない子供。何故魔王になれたか謎。


N:ナレーション。



本編スタート


N:魔王城に乗り込む当日、勇者はみんなが本当に来てくれるかドキドキしながら待っていた。

しかし、その不安は無駄であった。


勇者:みんな、来てくれたんだね!これから魔王の城に乗り込むけど大丈夫?


戦士:ここまで来て逃げ出すとでも?魔王の1人や2人、一捻りにしてくれる。


魔法使い:魔法使いと名乗っているのに治癒魔法しか使えないなんて悔しい。


僧侶:いいじゃないですか、魔法使いさんは。自分は神に仕える者でありながら破壊魔法しか使えないんですよ?


魔法使い:確かにそれは問題だ。産まれる時に魂の入れ違いでも起きたとしか思えんね。


N:魔法使いが言うのも最もである。自己紹介のところでも書いた通り、魔法使いと僧侶は使える魔法が逆だからだ。


戦士:そんな事気にしてんじゃないさ。それも自分自身って奴だ。自分を好きになりゃそんな事は気にならん。ま、魔法が使えないやつが言うのもアレだがね。


勇者:戦士いい事言うじゃんか!そうだよ、魔法使い、僧侶!気にしないで行こうよ!


魔法使い:戦士がそんなこと言うとはね。まぁ、気にしても今更仕方ないし…それで行きますか。


僧侶:勇者様までそう言うならそうなんでしょうね。もし魔王を倒して神に認められたなら願いを叶えてもらいたいものだね。


勇者:よし、話はそこまでだ!そろそろ魔王城に突入だ!


N:何故か魔王城の目の前にある街で1晩を明かした一行は、歩いて30歩程のところにある魔王城に着いた。


勇者:やっと着いたな、魔王城に!


魔法使い:いや、今数分前に街を出たばっかりだけど?


僧侶:確かに出発した故郷はここから歩いて30分のところですよね。


戦士:まぁ、確かにそうだね。敵が出ても自分の剣の一振で壊滅させてきたから、みんな1度も戦ってないよね。


勇者:それは言わないお約束だぞ?


魔法使い:…って、なんか魔王城から凄い数の敵出てきたんだけど!?


戦士:そうか、じゃあ自分の出番だね。敵さん、こっちだよー!


僧侶:ちょっと囮やってどうする気ですか!流石に戦士さんだってこの数は厳しいでしょう。


魔法使い:僧侶、お得意の破壊魔法使ってやればいいんじゃないか?


勇者:おいおい、勇者としての実力も見せ付けてやらないとね!


N:先に魔物の集団の所へ走った戦士。鞘から抜き放った剣には稲妻が宿っている。


戦士:お前さんら、ちょっと喰らってみるかい?ライトニング・ブレード!


N:戦士の放った一撃は魔物の群れを容赦なく引き裂いた!


僧侶:戦士さん、やるぅ!


魔法使い:そんな事言ってる場合ではないよ。まだかなり残ってる。


僧侶:仕方ないなぁ、じゃあ行ってくるよ。あーあ、僧侶なのに破壊魔法かぁ。


N:僧侶は狙われないけれど、敵を狙いやすい位置に陣取り詠唱を始める。


僧侶:破壊の神よ、我が願いに応えよ!我が仲間を救うため我の行く手を阻む者共を殲滅せよ!

ダーク・デストロイ・トーネード!


N:僧侶の破壊魔法によって粗方片付いたが、まだ生き延びた魔物が襲いかかってきた!


戦士:いってー、やっぱ前衛職ってこんなもんだわな。魔法使いに癒してもらうか。


勇者:よっ!戦士、お待たせ!残りは任せて魔法使いのところにでも行ってな!


戦士:やっとお出ましかい?勇者様。じゃ、後は任せた!


N:魔法使いが駆け寄ってくる。もちろん傷付いた戦士を癒すためにだ。


魔法使い:まったく、戦士は無茶するねぇ。癒すよ?聖なる雫よ、彼の者の身体を癒したまえ!

ヒーリング・レイン!


戦士:サンキュー、魔法使い!やっぱり癒しの魔法はいいねぇ!


魔法使い:バカ言ってんじゃないよ!怪我するような事をするっての!


戦士:へいへい。わかってるって!


N:敵の前に1人残された勇者は、数百もの敵を相手に対峙していた。


勇者:ここからは勇者様の出番だよね!さぁ、この勇者の力を味わいたい奴寄っといで!


N:魔物共が咆哮を上げ勇者へ飛びかかる。


勇者:勇者だからって光属性しか使えないと思わないことだよ。天空の光、暗黒の闇、今ここに集え!

カオティック・ブラックホール!


N:勇者の(ある意味暗黒魔法)攻撃で、敵を全て倒しきることが出来た!

魔王城に入ろうと扉を開けようとした時、中から子供が1人現れた!


魔法使い:この子どうしたのかね?魔王にでも誘拐されてた子供?


戦士:知らないが、安全な所へ送る義務はあるな。


N:すると子供は口を開いた。


魔王:すみません、子供なんですけど…一応魔王やってます。


勇者一行:えっ!?


魔王:あ、でも魔王って言っても魔法も攻撃も出来ないんです。ただ超能力?って言うんですかね?他人の職業を入れ替えたりする事が出来るくらいで…。


魔法使い:もしかして治癒魔法しか使えないのって魔王のせい?


僧侶:魔王さん、初めにもしかして魔王さん自身に使わなかった?


魔王:魔法使いさんが治癒魔法しか使えないのは、僧侶さんと職業入れ替えたからなんですよ。

あと僧侶さん、それは違うんです。初めは僧侶さんと魔法使いさんを入れ替えた、そこまでは言った通りです。

その後、魔法使いさんに治癒魔法が行った後に、僧侶さんと魔王の職業を入れ替えたんです。

本当にご迷惑お掛けしました。


戦士:でもあんた、魔法も攻撃も出来ないって言ってたじゃないか。じゃあ、僧侶が持ってたはずの魔法使いの魔法はどこへ行ったんだい?


魔王:すみません、攻撃魔法とか怖くて使えないので、このオーブに入っています。


魔法使い:本来の力が戻ってくるならどうでもいい!早く返して!


僧侶:破壊魔法しか使えないのって、魔王の力のせいだったのかい!


勇者:でも、なんでこんな事したんだい?そもそもなんの力も持たない君が魔王とか、先代魔王は何を考えてるのか…。


魔王:すみません、魔王ってだけで部下がペコペコしてるし、友達なんてなってくれる魔物も居ないし

魔王としてはまだ子供なのに1日のうち17時間は仕事させられるしで…いい加減嫌になってしまって。

そしたら、この超能力に気付いて…イタズラすれば勇者さんとかが来て、魔王を倒せば自分も仕事から開放されるし

いい気分で凱旋して良い生活送れるよねとか考えたし。

それに、もしかしたら…本当にもしかしたらですよ?

…友達になってくれるかもって淡い期待をしてました。

安心してください、今すぐ元に戻しますから!

魔王が命ず、全てよあるべきところに戻れ!

リターン・トゥ・リアリティ!

多分、これで戻ったと思います。


勇者:これからどうするつもりだい?魔王としての破壊魔法は戻ったんだよね?


魔王:この魔法はですね、オーブに入れて封印しておきますよ。魔王としては変な話ですが、破壊魔法嫌いなんです。どちらかと言うと僧侶さんの治癒魔法習いたいです。


僧侶:えっ?魔王さんが、治癒魔法?


魔王:おかしいでしょうか?


僧侶:いや、そういう訳では無いですが…。でも教会には入れないでしょうから、ここに来て教える事になりますね。


戦士:じゃあ、もういっそ友達になってしまえば早いんじゃないか?


勇者:そうだね、友達ならいいかもしれないね!君は悪い事をしない子だってわかったからね。…でも、その超能力は禁止だよ?


魔王:わかっています。もうこの能力は不要になりましたから。これだけ友達が出来たなら要らないです。


魔法使い:本当もうその能力は勘弁だから!てか、取られてる間に魔法のレベル上がりすぎてる!これが魔王の力…。うわ、何この魔法。全属性を一纏めにして放つとか、恐ろしくてつかえないっつーの。


勇者:何言ってんだよ。もう使う必要ないってわからない?魔王は友達なんだよ?


魔法使い:…そうね。確かに使う必要ないね。ただし、魔王さん、あなたには少し魔法の稽古するよ。もし部下が裏切った時抵抗するだけの力は付けるからね。…友達が死ぬなんて認めないし。


戦士:よっしゃ!それなら剣の稽古もつけてあげなきゃ。魔力が尽きた時頼りになるのは己の力だからね。ビシビシ行くから覚悟しときな!


僧侶:それでは治癒魔法は、魔王さんの本当の仲間の魔物さんの傷を癒すために教えます。それでいいですね?


勇者:じゃあ自分は魔王の書類仕事を手伝ってやるさ。休む暇まともに取れないんでしょ?魔王の仲間に聞けばそれなりに出来るだろう。流石に魔王のサインとかは押せないし書けないから本当に簡単なのだけだけとね。


魔王:皆さん友達になってくれる上に、弱虫の魔王に特訓してくれるし仕事まで手伝ってくれるなんて。先代魔王様が言ってた、人間は酷いやつだなんて嘘じゃないか…。


勇者:世の中そんな奴ばかりじゃないってこった。

少しは信じて欲しいけどね。


戦士:そうだぞ、魔王が信じないとこっちだってどうしようも無いんだから。


魔法使い:魔王さんの性格も少しは威厳ある様にしないとならないね。考え方が弱虫すぎる。


僧侶:魔法使いさん、友達にキツイ言い方はしないであげませんかね?魔王さんはまだ子供なんだからね?


勇者:よーし!魔王もとい、友達を鍛えるぞ!


3人:おー!


魔王:本当にありがとう、皆さん…いえ、大切な友達。


N:魔王の超能力に驚いた一行とナレーションの私(僕)は、勇者一行の魔王を友達とし、魔王の力と威厳をつける為の特訓に入った。人間の方の王は、そんなに可哀想な境遇に居た魔王を哀れんで、側近としての力を備えた兵士を数人魔王城へ派遣した。

数年後、そこそこの力と威厳、帝王学を学んだ魔王が人間の国、特に協力を惜しまずしてくれた勇者の住む国と同盟を結んだそうだ。




〜Happy End〜




#声劇台本

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6人用声劇台本【魔王にも事情があるわけで】 笛吹魔音 @mao_usui

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