第25話 鎌 vs 十字架

いまお前の大好きなお米婆を、お光様を連れて来てやっからよ。どんなお光様だか、お前に心眼があったら見せてーや。へへへ。良夫と為子も楽しみにな。これから21日間、和子やこの家に取り憑いて、メッタメタにしてやるからな」

天使「まんずハア、あんなこと云って……」

悪魔「文句あるってか。(懐から鎌を出して)おい、俺様は人間の生殺与奪を握っている男よ。これで以ってな。お米でも誰でもだ」

天使「(生唾を飲んで)……出すな、ちゅうの。この……」

悪魔「いっぺんてめえのも切りてえんだがな。いつまでも付き纏いやがると……」

天使「やるってか。そったらばおらも出すけんのう。よかか?(懐から十字架を垣間見せる)」

悪魔「むっ。バ、バカ、止せ。じょ、冗談だ、冗談。今のは……お互い超次元生物だ。命の遣り取りなんか出来る分けねえだろ?万事、合理的に考えやがれ(鎌を仕舞う)」

天使「おめえが出すからでねえけ。売り言葉に……じゃなくって、売り鎌に買いクロスじゃけんのう。天使だからってナメたら、ナメたらあかんぜよ」

悪魔「夏目雅子かてめえは。汚い(きたねえ)夏目雅子だな。ま、いいや。それよっかいつまでもお米を苦しませちゃ可哀想だ。さっき来がてにお米の魂の緒、少し切っておいたんだ。これでな(鎌を懐から少し出して叩く)。今頃は病院に運ばれて危篤状態だろうよ。おっつけ教団の幹部でも和子の所に来るだろうぜ」

天使「まんず酷いことを……アーメン(合掌する)」

悪魔「へっ。いろいろ算段があってのことよ。とにかくよ、行くぜ、俺は。お米を楽にしてやらあ。慈悲深いんだぜ、俺は」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る