行方知れずの僕へ

夏越 藍

行方知れずの『ぼく』へ

「ぼくはそこそこ勉強ができて、生き物が大好きだ。」いや、違う。「ぼくはそこそこ勉強ができて、生き物が大好きだった。」と、言った方が正しいか。小学校を卒業し、中学生になってから、『ぼく』は『僕』になった。それから高校生になっても『ぼく』は『僕』を演じ続けた。自分の好きな物を否定されるのが嫌で、他人に自分を異質な存在だとみなされるのが嫌で。

そうしているうち、『僕』は『ぼく』を見失った。いや、『ぼく』はもう存在しないのかもしれない。『僕』は『ぼく』を消して『僕』は『ぼく』に成り代わったのだ。

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行方知れずの僕へ 夏越 藍 @_eclipse06nagoshi

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