短編  1人残された思い

@setu1218

 一人残された思い

乃木のきせつ、勇優高校に通う生徒である。


彼は昔から、無口で暗かった…


一方同じ勇優高校に通う宮園みやぞのこころ


節とは真反対でお喋りでとても明るく元気な子だった。この二人は家が隣同士で幼馴

染だった。一学期の終業式の日節は自分のことをいじめてくるいじめグループが幼馴染の心に暴力を振るい、脅しているところに遭遇そうぐうした。


その時いじめの主犯格が嘲笑ちょうしょうを含みながら心に話しかけた


「お前さぁ、あんなくそ陰キャと関わんなや」


「い、いやだ!節は僕の大事な友達なんッ—」


バコン(殴った音)


「黙れ、俺が関わんなってだから従えや!…なぁ?」


心がしゃがみ込んだ


「お前さ、しゃがみ込むなよ。殴りにくいだろが!」


ドン!ドン!バコン!(暴力を振るう音)


(はぁはぁはぁ。ぼ、僕のせいで心が、あぁぁぁ!!)


節は思わず頭を抱えしゃがみ込んだ


(なんで、僕だけいじめればいいじゃん心は僕のせいで


はぁはぁはぁ助けに行かなくちゃ…でも、…)


節は思わず逃げてしまった





後になって、節はとてつもなく後悔した…



節は家に帰りすぐに寝た


朝になり起きてテレビをつけた


すると、丁度この街のニュースが流れた


『昨日の20:30ごろ勇優高校の宮園心さんの死体が自宅で発見されました。警察によると、自殺だそうです』




節はその場でしゃがみ込んだ


自らの行動に絶望した

自分を恨んだ…


頭には死にたいということだけが浮かんだ


外の空気を吸おうと外を出た


そしたらポストから何かはみ出しているものが目に入った


回収すると節へと書かれていた


僕あて?不思議に思いながら部屋に戻る


その中身は心から手紙とアクセサリーだった…





こんばんは?あるいはおはよう節


僕はね、いじめが怖くなったんだ


だから、もう誰も届かないところ天国いや地獄ってところに行くことにしたんだ


まあ、言えば自殺…


僕は苦しくないところへ逃げたんだ


節はすごいな、あんなのに耐えるなんて


僕はね、数日も耐えきれなかったよ


節、僕とこれだけは絶対に約束してほしい

人生を楽しむこと

そして、幸せに過ごすこと

自殺なんかせず…


僕はこれを達成できなかったんだ


だから節、僕の代わりに長生きして幸せに過ごしてほしい


そう思うんだ


それと復讐なんてしないでよね…言わなかったら多分してたでしょ


17年の付き合いなんだからなんでもわかっちゃうよ


なんてね…


よかったらさ…このペンダントを僕の形見にしてくれないかな?


(手紙と一緒に入ってた真っ白なアクセサリーのことか)


このペンダントには僕の想いが込められているんだ、いつかわかってくれると嬉いな…


僕と節はお別れだ


節と過ごす時間はとても楽しっかたよ


これが最後のありがとうだね


またね…

次、会う時は思い出話をいっぱい持ってきてね


そして、最期のお別れだ


さようなら




節は心が押しつぶされそうだった


ずっと泣いた泣いて、泣いて、泣き続けた


いつのまにか夜になっていた






◇◇◇◇






あれから僕は耐え続けた


大学に入るといじめはなくなり、それなりに友達もでき楽しんだ


結婚はできなかったけど、3匹の猫を看取った


質素ながら、毎日小さな幸せを噛み締めながら生きた


「もう、ダメだなぁ」


節は一人、部屋で呟いた


自分のことは自分がよく分かる、この言葉は本当のようで今この眠気に逆らわずに寝てしまうと、死んでしまうことがよく分かった


「心、小説みたいに面白くないけど、僕の人生の思い出、楽しんでくれるかな?」


死ぬのは怖くない、死んだら心に会えるから


「やっと会える」


こんな時でも思い浮かぶのは幼馴染の顔だった


「…あぁ。心、久しぶり…………」


閉ざされたまぶたは、再び開かれることはなかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編  1人残された思い @setu1218

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る