Black Women

進藤 進

#01 ブラックJK

むかつく。

むかつく。


何もかも。

いや。


いやいやいや。

うんざりなんだってば!


午後の世界史の授業。


退屈で。

眠くて眠くて。


必死につまらない先生の話を聞いていたのに。


「はい!●●さん・・・」

「えっ・・・」


突然の指名。

カエサルがルビコン川を越えた年なんて知るか!


狼狽えていたら。


「まぁ・・いいでしょう・・・」

含むような笑みを浮かべて。


クソ教師は。

分厚い唇を歪めたのです。


※※※※※※※※※※※※


むかつく。

むかつく。


何もかも。

いや。


いやいやいや。

うんざりなんだってば!


午後の授業を思い出しながら。

学校からの帰り道。


むかつく速足の前に。

歩道をノロノロと歩くお婆さん。


追い抜こうとするのだけど。

微妙にユラユラと邪魔する。


(どけよ!)

思わず叫びたくなった。


ささくれだった私の心。

全ての人に意地悪したくなる。


あぁ・・・。


いやだ。

いやだ。


そんな時。

大きなクラクション音。


猛スピードで走り去る車に。

お婆さんが倒れそうになった。


咄嗟に。

抱きかかえて。


私は叫んだ。

「バッキャロー・・・」


私の声は。

交差点の四方にいる人達を振る向かせるには十分で。


少し。

顔が赤くなったけど。


お婆さんが無事で。

ホッとしたのでした。


「ありがとうね・・・」

おばあさんが小さく声をかけた。


「い、いいえ・・・」

私は赤くなった顔を見せないよう俯いて答えた。


そのまま手を引いて。

横断歩道を渡った。


「ありがとうね・・・」

何度も繰り返す声に。


私は戸惑いながらも。

手を振りながら駅へと向かった。


私の口元は。

いつの間にか微笑みを浮かべていた。

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