第8話 部活

「ねぇ、朝言ってたことほんまにするん?」

パソコンをつけている千紗に聞く。

千紗は頷く。

「だって、記録伸ばしたいんだよね?」

「まぁ…うん。それと、」

もう一つ聞きたいことがある。

「それと?」

「なんで、私の住んでるところ知ってるの?」

「あー、それはね。先輩に聞いたんだ」

「マジで?」

信じられない。あの無口な先輩が口軽なんて。

「マジ」

そう千紗が言い切ったとき、

「こんにちはー」

先輩が部室に入ってきた。朝は一つぐくりをしていたのに、今はおろしている。

荷物を置き、自分の席に座るとそのまま六車先輩と喋り始めた。

「優奈」

「なに?」

「優奈の家から駅って遠い?」

「少しだけ」

「そっか。どのへんに住んでるの?」

「新寺池の近く」

ちなみに、そこから駅にチャリで向かおうとしたら15分はかかる。

「そこか…んー、

「あのー、そこの二人いいですか?」

六車先輩が声を上げ聞く。

「あっ、すみません。大丈夫です!」

千紗が答える。続くように私も言う。

「同じくです」

と。六車先輩は分かったと呟いて、タイマーに指をかける。

「練習始めます。キソ1ページです」

英単語だけ書かれている紙の束を原稿台にセットする。キーボードに指を置く。

「十分測ります。よーい、始め!!」

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