きょうのおこない

第9話 月 日 (「女子道」とは何か)

お昼ごはんを食べた帰り、近くの地下街を歩く。灼熱の酷暑を少しでも凌ぐ為に外には出ない。出たくない。地下街はショッピングモールになっている。

とある店舗前の看板に目がいく。「たくさん楽しい女子道！」とポップに書いてあり、看板にはイベントが書き連ねてある。

「着付け教室 ワンコイン、手ぶらでOK！」

「深夜にヨガ！」

「日本酒講座」

目を見張ったのはイベント名ではなく、「女子道」という奇妙なワード。女子道とは。言葉から生まれる不思議な質感に興味が湧く。

時間的にお昼休みが間もなく終わる。「女子道」が気になる。この場合、「女子」と「道」が合体している。

細かい国文法は詳しくないが文章は言葉から出来ている。つまり語の組み合わせだ。「女子道」みたいな言葉、他にもあるのではないか。そう思いたってPythonプログラムを書いた。

全ての組み合わせを出力しその中から抽出する計略だ。

これは数学的に「順列」と呼ばれている。m個の中からn個取り出して並べるパターンは記号では「mPn (m>n)」と書ける。この順列の個数の公式は以下となる。

mPn = m(m-1)・・・(m-n+1)

(m から順々に1減らしながら n 個の整数のかけ算をする)

組み合わせる言葉は次の8個とする。

女子、いちご、ひょっこり、もも、ぶどう、ティッシュ、忍者、野菜

8個から3個取り出す順列の処理結果は以下の通り。

+--------------------+

女子いちごひょっこり

女子ひょっこりいちご

いちご女子ひょっこり

いちごひょっこり女子

ひょっこりいちご女子

ひょっこり女子いちご

女子いちごティッシュ

女子ティッシュいちご

いちご女子ティッシュ

いちごティッシュ女子

ティッシュいちご女子

ティッシュ女子いちご

女子ももひょっこり

女子ひょっこりもも

もも女子ひょっこり

ももひょっこり女子

ひょっこりもも女子

ひょっこり女子もも

女子ももティッシュ

女子ティッシュもも

もも女子ティッシュ

ももティッシュ女子

ティッシュもも女子

ティッシュ女子もも

女子ぶどうひょっこり

女子ひょっこりぶどう

ぶどう女子ひょっこり

ぶどうひょっこり女子

ひょっこりぶどう女子

ひょっこり女子ぶどう

女子ぶどうティッシュ

女子ティッシュぶどう

ぶどう女子ティッシュ

ぶどうティッシュ女子

ティッシュぶどう女子

ティッシュ女子ぶどう

忍者いちごひょっこり

忍者ひょっこりいちご

いちご忍者ひょっこり

いちごひょっこり忍者

ひょっこりいちご忍者

ひょっこり忍者いちご

忍者いちごティッシュ

忍者ティッシュいちご

いちご忍者ティッシュ

いちごティッシュ忍者

ティッシュいちご忍者

ティッシュ忍者いちご

忍者ももひょっこり

忍者ひょっこりもも

もも忍者ひょっこり

ももひょっこり忍者

ひょっこりもも忍者

ひょっこり忍者もも

忍者ももティッシュ

忍者ティッシュもも

もも忍者ティッシュ

ももティッシュ忍者

ティッシュもも忍者

ティッシュ忍者もも

忍者ぶどうひょっこり

忍者ひょっこりぶどう

ぶどう忍者ひょっこり

ぶどうひょっこり忍者

ひょっこりぶどう忍者

ひょっこり忍者ぶどう

忍者ぶどうティッシュ

忍者ティッシュぶどう

ぶどう忍者ティッシュ

ぶどうティッシュ忍者

ティッシュぶどう忍者

ティッシュ忍者ぶどう

野菜いちごひょっこり

野菜ひょっこりいちご

いちご野菜ひょっこり

いちごひょっこり野菜

ひょっこりいちご野菜

ひょっこり野菜いちご

野菜いちごティッシュ

野菜ティッシュいちご

いちご野菜ティッシュ

いちごティッシュ野菜

ティッシュいちご野菜

ティッシュ野菜いちご

野菜ももひょっこり

野菜ひょっこりもも

もも野菜ひょっこり

ももひょっこり野菜

ひょっこりもも野菜

ひょっこり野菜もも

野菜ももティッシュ

野菜ティッシュもも

もも野菜ティッシュ

ももティッシュ野菜

ティッシュもも野菜

ティッシュ野菜もも

野菜ぶどうひょっこり

野菜ひょっこりぶどう

ぶどう野菜ひょっこり

ぶどうひょっこり野菜

ひょっこりぶどう野菜

ひょっこり野菜ぶどう

野菜ぶどうティッシュ

野菜ティッシュぶどう

ぶどう野菜ティッシュ

ぶどうティッシュ野菜

ティッシュぶどう野菜

ティッシュ野菜ぶどう

+--------------------+

以上である。

単語が増えると処理時間が急激にかかる。「組み合わせ爆発」と言われる事象だが詳細については割愛。候補に助詞とか入れても良いかもしれない。

面白い響きもあるが玉石混淆である。吟味の時間はかなりかかる。創作の場面で、脳の中ではこれを感覚的に行っていると考えると神秘的でもある。同時に「頭を使うと疲れるはず」である。