第6話 月 日 (禁戒の肉厚な果肉)
チベット高気圧が西側からはみ出て日本にかぶさってきているではないか。暖かく湿った空気の侵犯に憤怒である。「暑い」という文字には、熱くて触れない。太いステンレス製の「暑い」が駅の前にオブジェとしてロータリーの真ん中に配置されている。
これほどまでに暑いと東京中の中華屋さんの餃子の皮がほどけるんじゃないか。暑さで小学生の記憶が蒸発し、校歌が歌えなくなるのではないか。
暑さで朦朧としていて、ぬるいエアコンの電車の中で、となりのおじさんが新聞紙をぶちまけても、感情がスンとしてて対応に俊敏さが無かった。一枚だけ拾ってあげた。
本社出勤の日。端末を二台持っていく必要性があり、付随して電源ケーブルも入り、大変に重い。更に諸々モバイルデバイスも複数台ある為、ケーブル類や手帳、ノート、文具、Appleのヘッドフォンケース、まあ兎に角もずしりと重くなっていく。それを背負って電車の出社は中々の苦行である。
午前中にやることを整理してても、突発の依頼タスクは入る。バッファを積んでおかないといつまで経っても終わらない。キーボードの打鍵が更に速くなる。因みにキーボードは自分のキーボードを使っている。そうだ、これも鞄に入れているのだ。
同僚のまっつん(仮名・人妻)とお昼食べに行った。パスタの五右衛門に並んだ。程なくして入り、明太子パスタのアレンジ版みたいなの頼んだ。まっつんはトマトソースのなんたらを頼んだ。先にドリンクが来て直ぐに飲み干した。
「にこにこ先生さ、この前言っていた二人きりの飲み会だけど、旦那がダメだって」それはそうだろう、愉快ではなかろうから「全然!それはそうだよ、大丈夫!」と答えた。「誰か誘って複数人ならいいって」
この二人きり飲み会はまっつんが提案してきたものなので、僕は特段ガッカリもしない。別部署の関係者たちで飲めばいいんだ。そう言いつつ少し残念な小さな粒くらいの気持ちはあったかもしれない。
まっつんと会社の文句を共有しながら、濃密などうでもいい話もしながら、食べ終えた。お水も足しながら休憩時間分のお喋りをして、フロアに戻った。
このお仕事はPCを使うのがメインなので、キーボードの打鍵速度は重要だ。Linux界隈で普通に使われるエディタ「vim」をスクリプトやデータ管理に使っている。キーボードの上下左右ボタンを押す必要がないから爆速である。
こういった関係で自分のキーボードをわざわざ持って行っている。マウスもだけど。
仕事が終わり、明日の準備をして退社した。
ビル出ても、外はまだまだぬるい、暑い。もう直ぐ家に着く。コンビニでゴハンやお酒を購入し、カクヨムに何を書こうか、ニヤニヤしながら帰路に就いた。
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