第5話 『蛍』
福山雅治の「蛍」が響き渡る。スタジアムの外では蛍が舞い、幻想的な光景が広がるが、涼介の心はその光景とは正反対に緊迫していた。美咲の証言が事件解決の鍵となることを知りながら、彼女が行方不明になったことに焦りを感じていた。
香織と涼介は美咲が直樹の部下に捕らえられたことを察し、彼女を助け出すためにスタジアム内を駆け回る。彼らは美咲がどこかに閉じ込められていると考え、スタジアムの隅々まで捜索を開始する。
涼介は心の中で「美咲を無事に見つけ出さなければ…」と強く思いながら、スタジアムの地下通路を進んでいた。その時、微かに聞こえる声に耳を澄ます。それは美咲の声だった。「ここにいる…助けて!」と叫ぶ彼女の声が涼介の耳に届く。
「よし、ここだ!」涼介は直感で美咲がいる場所を特定し、閉ざされたドアの前に立つ。彼は全力でドアを押し開けようとするが、錠がかかっていてビクともしない。涼介は周囲を見渡し、近くにあった消火器を手に取り、ドアの錠を壊し始める。
「もう少しだ、美咲!」涼介は力を振り絞り、ようやくドアを破壊することに成功する。中に入ると、そこには怯えた表情の美咲が座り込んでいた。涼介はすぐに彼女に駆け寄り、腕を引いて立ち上がらせる。
「大丈夫か?もう安心だ、美咲」と涼介は優しく声をかける。美咲は涙を浮かべながらも頷き、涼介の腕にしっかりとつかまる。「ありがとう、涼介さん…私、証拠を持ってる」と言いながら、美咲はスマホを差し出す。
涼介はスマホを受け取り、証拠の映像を確認する。そこには、高橋直樹がスタジアム内で不審な動きをしている決定的な瞬間が映っていた。「これで、直樹の計画を止めることができる…」
その時、涼介の耳には福山雅治の「蛍」のラストメロディが流れていた。美咲の証言と映像が、事件解決の鍵となることを確信した涼介は、香織と合流して最後の一手を打つ準備を整える。
「蛍」の光がスタジアムの夜空に舞う中、涼介は美咲を守り抜いたことに安堵しつつも、次なる行動への決意を固めた。彼の心には、事件を解決するための強い意志が燃え上がっていた。
「これで終わりにしよう…全てを、真実のために。」
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