第2話 『虹』

福山雅治のライブが始まり、スタジアム中は歓声と興奮で満ち溢れていた。涼介は、香織が監視カメラの映像を解析している間、現場を直接調査するためにスタジアム内を歩き回っていた。


ステージから「虹」が流れ始め、涼介はそのメロディに耳を傾けながらも、鋭い目で周囲を観察していた。観客たちは楽しそうに手を振り、スマホを掲げてライブを記録しているが、その中に何か異様な雰囲気を感じ取る。


ふと、一人の男が目に留まった。彼は他の観客とは違い、ステージに夢中になることなく、周囲を警戒するような目つきで見渡していた。涼介は心の中で「こいつ、何か企んでるな…」と呟き、男を見失わないように追い始める。


男が移動する先々で、涼介はさりげなく距離を保ちながら後を追う。男がバックヤードに向かうのを見て、涼介は急いで近づき、陰からその様子を伺った。男はしばらくバックヤードで何かを確認していたが、その手には小型の通信機のようなものが握られていた。


「これは怪しい…」涼介は内心で警戒を強めつつ、男が再び観客席に戻るのを見送った。その後、男の動きを見逃さないようにしながら、涼介はスタジアム内をさらに調査する。


高橋直樹の姿もちらほらと視界に入ってくる。彼は普段通りの冷静な態度を装っているが、その動きには何か違和感を覚えた。涼介は、「直樹、お前も何か知ってるな…」と心の中で呟き、彼の動きを注意深く観察することに決めた。


ライブが進行する中、涼介は観客の中に潜む謎の人物の存在に気づきながらも、高橋直樹の動きの怪しさを感じ取る。証拠を集めるために、涼介は再び現場の隅々まで目を光らせる。


「虹」のメロディが流れる中、涼介の心には新たな疑念と使命感が芽生えていた。彼は、香織と共に事件の真相に迫る決意を固め、次なる手がかりを追い求める。


「さあ、次はどう動く…?」涼介の探偵としての鋭い視線が、スタジアム内の真実を暴く一歩を踏み出す。

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