第26話 甘罠炸裂
「園長先生、おはようございます」
「ああ、おはよう、ひなたくん。どう、最近、同棲中の彼とは?」
私も一度だけピロシから誘われたことがあるが、「彼に十分満足させてもらっているので」ときっぱり断ったら、時々こういう声がけをされるようになった。
「それが最近倦怠期なんですよ。園長先生、後腐れなしってことで一回だけお付き合いお願いできませんか」
「え、いいけど」
「私、今週末が安全日なんです。コスプレしてするのが好きなので、それに付き合ってくれたら特別サービスしますよ」
明らかに怪しい誘いだが、モテ男は自分がモテることを疑っていないので、簡単に乗ってきた。ちょろいものだ。
その週末、私はピロシ先生と、彼が指定した新宿のラブホテルの部屋で落ち合った。
彼がシャワーを使っている隙に郁美パイセンを招き入れ、全裸にしてクローゼットに隠れさせ、私はドンキで買ったミニスカポリスの衣装に着替えた。
「おいおい、なんだよ、その恰好は 」
「コスプレしてエッチするのが趣味って言いましたよね。私にあわせてお芝居もしてくださいね」
「八神広志だな、警察だ。婦女暴行の容疑で逮捕する」
私は彼を後ろ手に手錠をかけ、仰向けにベッドに転がした。ガウンの下は何も身に着けていなかったので、彼の恥ずかしい部分が丸見えだ。
「さあ、罪を認めないと、いやらしい拷問をするぞ」
「あっ、おい、止めろ」
「お芝居、付き合ってくださいね、おい、無駄な抵抗は止めろ」
ピロシは、文句を言いながらも、私にあわせて演技を続けてくれた。恥ずかしい部分への拷問で、身体の方もようやく準備完了だ。
「よし、よく罪を自白したな。これからご褒美をやろう」
私は彼に目隠しをすると、クローゼットの中からこちらを伺うパイセンを手招きした。
「さあ、ご褒美の時間だ。思う存分楽しむんだな」
パイセンは無言で彼の上に跨り、私はアフレコで声を入れながら、それを介助をした。
「じゃあ私はこれで、頑張ってくださいね」
彼の上でダイナマイトボディを揺さぶるパイセンの耳元でそっと囁くと、私はそそくさと服を着替え、一人家路についた。
後日の郁美パイセンの報告である。
ことが終わって、パイセンに目隠しと手錠を外してもらったピロシは、それはもう大変な驚きようだったそうだ。加えて、安全日なのはあくまで私であって、パイセンはその限りでないことを知り、さらに大慌てになったそうだ。
園でもこっそりと「どうなったかな?」と話しかけてくるそうで、
「ちょっとかわいいので、もう少しこのままはぐらかしておきます」と、郁美パイセンは飛び切りの笑顔を見せだ。
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