バナナ牛乳を飲むくらいなら毒杯をあおったほうがマシだ
「しかるにクラスメイト諸君、牛乳はイチゴ味こそが
「ふん、宇佐木。そんな
「なんだよ
「ふっ、いいだろう。見ているがいい」
「諸君、断言しよう。イチゴとはすなわち、悪魔の果実なのである。人間を
このように堂々とスピーチをした。
その余裕あふれる態度に、宇佐木は
「鴫崎、君、言わせておけば……」
「どうした宇佐木、ぐうの音も出んか?」
「君の言っていることには
「なんだと? これほどロジカルに話しているのにわからんとは、お前こそ話にならぬ愚か者め!」
「ぐ、きい~! 鴫崎っ、表へ出ろ!」
「なんだ? 口でかなわんとわかったとたん腕ずくか? はっ、バカ丸出しだな! 宇佐木眠兎、敗れたりいっ!」
「ぐ、うう……!」
二人の目から飛び散る火花が、導火線に着火しようとしたそのとき――
「あのー」
有栖川が
「牛乳の味がイチゴだろうとバナナだろうと、別にどうでもよくね?」
彼は寝ぼけたカバのような表情でそう言った。
「……」
宇佐木と鴫崎はポカンと口を開いた。
彼らはこの世の終わりにやっと気づいたような顔をした。
「はい、はいっ!」
続いて雪村が挙手した。
「日替わりにするというのはどうでしょう? もしくはあらかじめ選んでおけるようにするとか?」
前のめりになって、彼はそう提案した。
「……」
宇佐木と鴫崎はしばらくぼうっとしていたが、やがて自分たちが出番の終えた道化であることを自覚した。
「宇佐木」
「ああ、鴫崎」
顔を突き合わせて敗北を受け入れた。
その表情はどこか満足そうに見える。
「われわれの負けのようだ、完全に……」
「ふっ、僕もこの場は
手を寄せ合い、固く握る。
教室からは
「みずからの敵はみずからが作り出している、ですね!」
雪村もキャッキャッと手を
「……くだらねえ。死ぬほどくだらねえ……」
有栖川のため息は、
こうして一つの青春の記憶が、歴史の余白の
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