第四章 ニートのおつかい

前編 お寿司コーナーの場所を教えろ


司会   はじめてのおつかい!340話ー!


可愛さん いえーい!!


川山さん 今日はどんなガキなんでしょう?


司会   川山さん、残念ながら今回おつかいに挑戦するのは成人の方なんです。

     ニートのジョン、スペクトラムくんです!

     スーパー山本で寿司を買ってきていただきます!


可愛さん ええ!?


川山さん それ本当にはじめてのおつかいなんですか?


司会   はじめてのおつかいには年齢制限などありません!

     はじめてであればいいのです!

     ジョンくんは小学生になってから一度も家から出ていないとか。

     おつかい未経験証明書もお持ちになっているので、

     参加資格は満たしています!


川山さん はあ、なるほど…。現在はお仕事をされていないということで…

     頑張っておつかいを達成してほしいですね。期待しています。


可愛さん (もしかして川山さんって子供にだけ毒舌吐くタイプ!?)


司会   それでは、インタビューです。



ーーー インタビュー ーーー



Q    ジョンさんはどんな子ですか?


お母さん ジョンはとても攻撃的な子で…。強力な能力を習得したせいで、

     もうお父さんでも太刀打ちできないんです。

     小さい頃はダンゴムシを潰して遊ぶ、優しい子だったのに…。


Q    好きな食べ物は?


お母さん 炙りサーモンの寿司です。


Q    今日のおつかいで不安なことは?


お母さん ジョンを家から出すまでですね。私と夫だけで引っ張り出せるか…。

     そのあとは心配していません。プロの方ですから、

     きっと作戦どおりやってくれるでしょう。



ーーースタジオーーー



司会   これは波乱のおつかいになりそうですね!


川山さん 作戦って何でしょう?


可愛さん 怖ーい!!


司会   さて!そろそろ刺客の方をお呼びしましょう!


刺客   …。必ず成功させます。


司会   頼もしい!それでは行ってらっしゃーい!



ーーージョンの家ーーー



お母さん 作戦開始!ウオオオオオオオ!!


ジョン  何だババア!!何しに来た!?


お父さん お前をこの家から出すんだよ!はじめてのおつかいだ!!


ジョン  クソみてえな社会に出る気はねえ!帰れ!!


お父さん 親に逆らいやがって!「ごま油スプラッシュ」!!



※「ごま油スプラッシュ」ごま油を飛ばして相手をベタベタにする!



お母さん 「サラダ油スプラッシュ」!!



※「サラダ油スプラッシュ」サラダ油を…以下同文!!



ジョン  弱えんだよ!おまえらの能力はよ!!!


お母さん クソ、やはり効かないか…。こんなに弱い能力もない。


お父さん ジョン、交渉だ、今日だけ!今日だけだ!

     家から出て、おつかいに行ってくれ。そうしたら、

     もうお前は一生外に出なくても、働かなくても構わない。


ジョン  はあ!?


お父さん 今日だけだ!!もし断るなら!ごま油をお前にかけ続けるぞ!?


ジョン  …本当に今日だけだな。本当に今日おつかいに行けば、

     一生外に出なくていいんだな!!


お父さん ああ、誓う!神とか、裁判所とか、いろんなところにな!!


ジョン  …わかった。出よう。



バタン。



お父さん ふう。


お母さん 作戦完了、準備を急いでくれ。



ーーーーーーーー



ジョン  クソ!こんな社会に出て何になるんだか!

     俺は親の金で一生飯を食うだけの人生を過ごしたいんだよ!!

     …でも、今日おつかいに行けば、一生家の中で暮らせる!

     そういう約束だ!…はあ。スーパーに入って、寿司を買ってくる。

     できるかなぁ…。



ーーースーパー山本 bgmが流れているーーー



「ヤマモトー!ヤマモトー!スウパアヤマモト!ヤマモトヤマモトヤマモト!!」



ジョン  な、なんてうるさいんだ!!やっぱり社会は地獄だ!



「ヤマモトヤマモトヤマモトヤマモト!ヤマモトヤマモトヤマモト!!」



ジョン  う、うるさいいいいいい!!まさか刺客がいるのか!?



「ヤマモトヤマモトヤマモト!美味しい!ヤマモト!!ヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモト!」



ジョン  …泣きそう。とにかく寿司を探さないと…。





ーーースタジオーーー



司会   おーとジョンくん!店のbgmに気圧されて泣きそうになっています!

     ちなみに刺客の能力ではありません!


川山さん 頑張ってほしいですね。ここを乗り切ればあと少しです。


可愛さん 頑張ってー!



ーーースーパー山本ーーー



ジョン  クソ!お寿司コーナーがどこにもない!もう、誰かに聞くしか…!



店員   テクテクテク…。



ジョン  あ、店員さんだ。話しかけようかな…、



店員   テクテクテク…。



ジョン  あ、行っちゃった…。



店員   テクテクテク…



ジョン  あ、別の店員さんだ…今度こそ話しかけないと!



店員   テクテクテク。



ジョン  近づいてきた! ア、アノ…。



店員   いらっしゃいませー!



ジョン  ア…。



ジョン  う、うう。俺は、俺は人に質問することすらできないのかぁぁ!!



ーーースタジオーーー



司会   おおっと、ジョンくん、店員さんに話しかけられません!


川山さん …頑張ってほしいですねー。


可愛さん (今までで一番「はじめてのおつかい」らしいことしてんなぁ。)



ーーースーパー山本ーーー



ジョン  うう…うううう…。



「ヤマモトヤマモトヤマモト!ヤ•マ•モ•ト!!」



ジョン  うるさいよ…。



「ヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモトヤマモト!!」



ジョン  うるさいいいいいいいいい!!!!



ジョン  「ジョン・ブラックアブーラ」!!!



※ジョンの能力、強い怒りの感情をもとに、身体中から石油を噴き出す。



ブシュウゥゥゥゥ!!!



店員   何だ何だ!?商品がびしょびしょだ!


ジョン  うがあああああ!!


店員   何だお前!?能力者か!?目的は何だ!?


ジョン  お寿司コーナーの場所を教えろおおおおお!!!!!


店員   !?2階に上がってすぐのところだ!


ジョン  あとその音楽を消せえええ!!


店員   わ、わかった!消してくる!だからもうそれをやめろ!!


ジョン  …はあ、はあ、はあ…。くそ…。辛すぎて思わず能力を使っちまった。

     でも、お寿司コーナーの場所を聞けたぞ…。



ーーーその後、ジョンはお寿司をお寿司コーナーで発見し、レジへ向かった。


レジではポイントカードの有無を聞かれるなどのアクシデントがありつつも、何とかお寿司の購入に成功した。ーーー



ジョン  よし、やったぞ!10年以上外に出てないから、

     ちゃんとできるか不安だったが、あとは家に帰るだけだ!

     このおつかいを済ませれば、もう一生外に出なくて済むぜ!!!



ーーースタジオーーー



司会   ジョンくん!あとは家に帰るだけです!


川山さん いいペースですね。一時はどうなるかと思いましたが…。


可愛さん あれ?刺客の方って…?


司会   実は、今回の刺客の方の任務はおつかいの妨害ではありません。


可愛さん え?


司会   …ふふ。まあ見ててください。


続く…

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