死末者

bbキャンセル君

夜の後ろ

死末者という言葉を知っているか?という問いに即答で、知らんと答えた記憶がある。じゃあいいわと帰り出す友達を止めた。

「最後まで言えよ、気になるだろうが」

「説明するの面倒い気持ちも分かってくれよーまあ・・・この街に住んでたらよく聞くだろ」

ハテナマークが頭上で表示されたまま首を傾げる。

「いいか死末者しまつしゃというのはな、夜にふらっと現われ人の形をした殺し屋の事だ。無差別に人を殺す男か女かは不明な奴、見る人によって様々な話をする。

お前も見た事あるならどんなんだ?と聴きたかったが・・・・その様子じゃあなぁ・・・・まっお前も気をつけろよ?」

「あ・・・ああ、なんか不気味な話だけど・・・・結局は人なのか?」

「さあ?そこまでは知らん」

「はい」


夜。一匹の狼が吠えていそうな満月だ。

俺は友達と久しぶりに炊く飲みしてふらふら歩いている、見慣れた道。

今日はやけに寒いように感じる。

「ひっく・・・・うぅ、飲んだなぁー」

ふらふら・・・・・

ドンッ

「あっいて、すいません!」

「・・・・・・・」

キッと背が高くて髪の長い女性に睨まれ、えー・・・と、たじたじしていると

「あんたには死相が見える、この先の道は気をつけな」

この先にある家の方向を指さして忠告をしてから

スタスタと俺とは逆方向へと進んで行った。

「えーーーーー・・・・」

となる出来事に酔いも徐々に覚めていく。

嫌な気分になりながら、俺の家が待つ方向へと、しっかりとした足取りで進んで行く。


「もう少しで俺の家だな。てか何もないじゃないか!あの女の人何言ってたん・・・だ?」

ピタッと止り、後ろを振り向かないようにできる限り視線だけで、状況を探る。


スタスタ スタスタ


家まであと5歩と言うところで、背後から刺すような鋭い殺気を感じ、恐怖で固まる。

スタスタ スタスタ


近づいてくる足音に体中が恐怖を感じ

家の扉を急いで開けて入り、鍵をしめる。

はぁはぁと息が荒くなる。

「なんなんだよ・・・・・てかなんで怯えてるんだよ俺・・・」


トントントン

優しいノック音が夜の家に響く、

「!?」


「そこにいるんだろ?安倉」


「え・・・・火氷かひょう?さっき一緒に飲んだ友達が俺の家に来てるんだ?」


「安倉、俺はお前に忘れ物を届ける為に追いかけてきたんだ。だから開けてくれ」


馴染みある声だがどこか違う。


俺はできる限り物音を立てずにリビングに行く。


俺がドアから離れたのを察したのか、ドアの先の相手の気配も消える。


ひとまず安心し電気を点けて、コーヒーを入れる。


暖かい湯気が俺を癒やす。


そうやってリラックスしていると、コクコクとくる眠気に耐えられず、睡魔に飲み込まれていった。


深夜 1時頃にハッと目が覚めると、電気は消えて、静けさが響き渡る。


「ああ・・・いつの間にか寝てたんだ。・・・・いてて、頭が痛い、酔いの代償がきたか・・・・・」


暗闇を手探りで、道を探しながら、歩む。


ジャキ


「なんで開けてくれなかったんだよ・・・・ひどいなぁ」

「誰」

「動くなよ、この鎌が見えねぇか?ああ暗くて見えねぇか・・・見えなくて」

ビシビシと喉辺りに感じる、銀色のもの。

息を飲むことさえもあまりしたくない。


「生き方が違う俺は人を始末することだけを求めてる哀れな殺し屋」

「なんでだよ!?」

悲しい声で

「俺はかまってちゃんだからな、ニュースに取り上げられる程の視線が欲しいんだよ!!!分からねぇだろうな!俺の・・・愛されなかった者の人生なんて!!!」


ザンッ!




ぐしゃ


手慣れた手つきで落とし、目を閉じる。

あえて指紋を残して、赤い血を適当に処理をして、他人の家で一息つく。


「俺は、人を殺す事以外で、見てくれたりすんのかねぇ?」

ボーとしながら、鎌の手入れを始めた。

しばらくして

誰もいない部屋に、電話が鳴る。

3コールに

ガチャッ

と電話を取る。

「安倉ー元気かー?帰れたか?、メモ帳忘れてるぜ?だから明日取りに来いよ」

殺し屋は口を開いた

「ああ、


「ああ、待ってるぜ、




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死末者 bbキャンセル君 @aiumi

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